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どの種類の心臓病からおこったうっ血性心不全でも、結果は同一方向の現象で、心臓が動脈に向かって打ち出す血液量が減りますから、その分だけ血液は静脈の側に停滞することになります(うっ血)。その停滞はだんだんさかのぼって毛細血管のところまで波及します。それで心臓に近い静脈(太い静脈)も、心臓からかなり遠い静脈(細い静脈)も、毛細血管とのさかいめ(細静脈・・・静脈側の毛細血管)も、正常な状態よりも内圧(静脈側の血圧)が高くなります。
毛細血管では、その壁を通して血液と血管周囲の組織のすき間との間に物質の出入りがありますが、毛細血管の内圧が高くなると、毛細血管内部の血液から水分がまわりの組織のすき間に出ていきます。これがむくみの発生です。この際、水といっしょにナトリウムも血液から組織のすき間に出ます。このような現象は、いわば、流れがよどんだために、上流の方で水が両岸にあふれたような出来事です。
ところで、うっ血性心不全でむくむのは、そのような物理的な関係だけからではありません。
うっ血性心不全では心拍出量が減りますので、当然、腎臓への血液の供給も減ります。そのために、腎臓で尿をつくる働きが悪くなり、その結果、水とナトリウムが十分に排泄されないで体内に残ります。
これにはまた、副腎皮質(腎臓の上方にある小さな内分泌腺である副腎の外側の部分)から出るアルドステロンというホルモンも一役を買っています。このホルモンはナトリウムを体内にとどめておく働きをするからです。このようにして、むくみの原材料である水とナトリウムとは腎臓で用意されることになります。 |
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