【効能】 |
滋陰養血、清熱除煩 |
【適応症】 |
耳の異常は漢方では、腎の衰えととらえ、腎機能を高める漢方を用いて治療することが多いものです。現代人の感覚からすると、腎は体に溜まった余分な水分を排泄する働き(機能)と考えがちですが、漢方でいう腎はもっと広い意味を込めて理解しています。生命活動の原動力を提供する臓器であり、生殖・成長・発育にかかわると考えられています。したがって、この機能が衰えると老化が早まり、老化現象としての耳鳴り、聴力低下などの耳の異常が発生すると考えます。 |
【類方比較】 |
釣藤散:高血圧傾向で、のぼせ、頭痛、耳鳴りなどを訴える人に使用します。
八味地黄丸:腰から下が冷えて重だるく、夜間の頻尿が顕著な人の耳鳴り、難聴などに使用します。 |
【解説】 |
補血の四物湯がベースとなり、知母、黄柏、柴胡、黄芩が上焦の熱に対応し、白芷、香附子で気滞を去り鎮痙、鎮痛に働きます。滋腎通耳湯は、血虚で、上焦に熱がのぼり、気の巡りが悪くなって発した肝腎陰虚による耳鳴り、難聴などを改善します。柴胡、芍薬組みあわせと香附子、白芷も含まれることからストレス性の耳鳴りにも使用します。
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【治療の現場から】 |
腎虚に伴う耳鳴りは、蝉の鳴くような「ジージー」という音が聞こえる。また、「キーンキーン」というような高音性の耳鳴りは精神的な原因で起こることが多い。どちらにも使えるのが滋腎通耳湯です。補腎作用が弱いと感じるときは、六味丸と併用します。
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【臨床応用】 |
肝腎陰虚による耳鳴り・めまい・難聴 |