・上焦は肺
肺は3つの臓腑のうちで一番上部にあります。むくみとの関係は先に述べましたように、肺の宣散(せんさん)・粛降(しゅくこう)が関係しています。肺は、人体の水分を全身の隅々まで水分をくまなく散布し、汗として体の外に排出「宣散(せんさん)」する働きと、全身各所で代謝された余った水分を次第に下降させ、尿として膀胱にまで下達させる「粛降(しゅくこう)」機能をもっています。
水の流れをスムーズにする作用は、主に肺の粛降(しゅくこう)機能によるもであり、上に溜まっている肺気を下降させることによって可能になります。汗や尿のでぐあいは肺の宣散(せんさん)機能によって左右されてきます。腎炎で小便のでぐあいが悪い人に(小便不利)の人に肺の薬を少し入れるのは、上のふたをあければ水が下方に流れやすくなるからで、肺の宣散・粛降の機能を協調させて利水を図るのです。慢性化したむくみは、肺との関係が薄れてきます。それは肺に停滞する水が下行して脾に及ぶ為で、中焦脾の症状が現れてきます。肺を治療してもだめなときは、水は脾の段階に入っています。
・中焦は脾
飲食物から水分を吸収して人間の体に必要な水分に変え、肺に
運び上げたり全身に輸送する機能が、脾の運輸です。脾の主な
作用は、食物を運化することです。運化とは、食物を必要な
栄養物に化すことで、それを運ぶことを運とよび、脾の一連の
仕事を運化と呼んでいます。脾が食物を運化できなければ、
食物も停滞し、食物中に含まれている水も停滞します。脾は、
燥を好み・湿を嫌います。胃腸が丈夫な人は少々の湿にはビクとも
しませんが、脾弱の人は湿が入りこんでくると、すぐに食欲不振に
なってしまいます。たとえ脾が丈夫であっても、肺の機能が低下して
いて、水湿が異常に多ければ、その圧力をうけて脾はやはり
やられてしまいます。(脾肺同病)
脾が虚してしまうと、脾の運化作用は低下してしまい、水をさばく
力が衰えていき、次の段階、水を代表する臓腑である腎の症状が
現われてきます。
・下焦は腎
腎は水を主る。それは、腎の気化作用によるものです。気化作用とは、
変化させるという意味で、体に不要な水を小便に変化させて排泄し、
まだ利用できるなものは再吸収して全身に還元します。この変化の
過程を気化作用と言います。むくみが長期化した場合、病気の本は
腎にあると弁証し、腎の治療をしていかなければいけません。
腎の陽気が不足すると、脾を温養することができず脾虚の症状をさらに
悪化させるので、腎ばかりでなく、脾も一緒に治療する必要があります。
さらに腎が虚して停滞した腎の水は、体の下方に停滞しますが、量が
多いときは上方に氾濫して肺に影響を与えて、全身がむくんできます。
病気が進行すると、肺に水がたまるようになってきます。
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