【効能】 |
滋補肝腎・潤肺平喘 |
【適応症】 |
肝腎陰虚の症状に用います。頭がボーッとする・頭がふらつく・思考力減退・めまい感・耳鳴・難聴・腰や膝がだるく力がない・口渇(とくに夜間)・咽の乾き・体の熱感・手のひらや足のうらのほてり・歯の動揺・寝汗・遺精・性欲の仮亢進(勃起不全・早漏・快感がないなどの機能不全をともなう)・尿が濃い・尿の余瀝・便がかたいなどの症候に良く用います。女性では、無月経・経血量が少い・無排卵などがみられます。また、この症候に、乾咳・息切れ・吸気性呼吸困難・無痰あるいは粘痰ときに痰に血が混じる・口渇などの肺陰虚の症候を伴うものに適しています。舌質は紅・少苔・脈は細数。
|
【類方比較】 |
半夏厚朴湯:咳は反射性のはげしい咳ではなく、咽頭に何かつまった感じ(咽中炙臠)である。神経質な傾向があります。
五虎湯:喘鳴と咳漱が強く、口渇、発汗があります。(熱性の咳)
小青竜湯:痰が多く、噛息のある咳(寒湿の咳)。 |
【解説】 |
滋補腎陰の地黄が主薬です。養肝益腎・渋精の山茱萸と滋腎補脾・滋精の山薬が地黄を補佐し、肝・脾の陰を滋補し精の漏出を防止することにより滋腎を強めます。利水滲湿の沢瀉・茯苓は陰虚で流動性をなくした湿濁を取り除き清虚熱の牡丹皮と清熱の沢瀉は陰虚の内熱を冷まします。さらに、滋陰潤肺・平喘止咳の麦門冬・五味子を加え、肺腎陰虚の喘咳に適用させています。
|
【治療の現場から】 |
★消化器が弱ければ参苓白朮散を合方します。
|
|
上腹部に比べ下腹部が軟弱無力の状態
腰痛倦怠・下半身が弱い
夜間排尿
※この目標に必ずしもこだわる必要はありません。 |
|
【使用上の注意】 |
軟便、下痢のもの。痰が多いもの。 |
【臨床応用】 |
慢性気管支炎・気管支拡張症・肺気腫・喘息・肺結核・アトピー性皮膚炎などで、肺陰虚・肝腎陰虚の症候を呈するものに使用します。 |