本文へスキップ

五味子

生薬情報目次

ア行 カ行 サ行 タ行 ナ行 ハ行 マ行 ヤ行 ラ行 

五味子(ごみし)

チョウセンゴミシSchisandra chinensis Baillon(マツブサ科Schisandraceae)の成熟果実を乾燥したもの(北五味子)。S. sphenanthera Rehd. et Wils. の果実を南五味子と称するが、日本市場にはない

【出典】 神農本草経 上品
【別名】 五味(ゴミ)、北五味子(ホクゴミシ)
【成分】 精油のシトラール(citral)、リグナンのシザンドリン(schisandrin)、ゴミシン(gomisin)
【効能】 鎮咳、去痰、滋養強壮
【薬理作用】 斂肺滋腎・生津斂汗・渋精止瀉
中性神経系の興奮作用・鎮咳去痰作用・子宮興奮作用・抗菌作用・トランスアミナーゼ降下作用
このほか、血圧降下・強心・感覚器(とくに視覚)の感受性増強などの実験報告もある。古人も経験的に、五味子には“補虚明目”の効能があるとしている。エーテル抽出物には副腎皮質の機能を促進する作用がある。
【臨床応用】 主として肺腎陽虚による咳嗽・遺精に用いる。
虚寒の呼吸困難・咳嗽に用いる。肺虚の呼吸困難・咳嗽で多量のうすい痰・舌苔が白いなどの寒痰・湿痰の症状があるとき(老人性慢性気管支炎・気管支拡張症など)には、乾姜を配合する。五味子は酸味で斂肺(鎮咳・消炎)し、乾姜は辛味で発散(血液循環促進)するので、収斂と発散が共同して鎮咳平喘の効果をあらわす。それゆえ古人は経験的に、“五味子は乾姜がなければ肺気を降し腎気を納めることはできない”といっているが、現代医学的にみると、これは薬物の共同作用により相互に効果を強め合うのである。ただし、この場合五味子は少量(3g以下)にすべきである。肺虚に外感をともなった咳嗽にも、五味子と乾姜あるいは生姜を配合する。
腎陽虚による慢性の下痢には、補骨脂を配合し、たとえば四神丸を用いる。
発汗過多で、身体がだるい・元気がないなどの症状をともなうときには、五味子を補益薬として使用し、麦門冬・党参を配合する。
神経衰弱に用いる。五味子の強壮作用と神経興奮作用を利用し、過度の疲労・思考力の低下・記憶力および注意力の減退などに適用する。アルコール浸出液や錠剤を投与すると効果がある。
メニエール病に使用している。酸棗仁などを配合すると、一時的に耳鳴りおよび眩暈が軽減あるいは消失する。
アレルギー性や掻痒性の皮膚疾患に用いる。五味子10gを80%アルコール100mlにつけて五味子チンキとし、1日3回5~6mlを水で沖服すると、蕁麻疹や血管運動神経性疾患に効果がある。
慢性肝炎に用いる。単味の蜜丸あるいは茵ちん蒿・大棗を配合した蜜丸を投与すると、トランスアミナーゼ値を低下させ、有効率は約80%である。
【性味】 味は酸、性は温
【帰経】 肺・腎経
【処方】 小青竜湯、人参養栄湯など
【用量】 1.5~9g。斂肺鎮咳には少量(1.5~3g)を用いる。益気滋陰にはやや大量(6~9g)を用いる。
【使用上の注意】 熱証の咳嗽・呼吸困難には禁忌である。また急性炎症や高血圧症・動脈硬化症には使用しない方がよい。
滋補には熟製したものを用い、虚火には生(なま)を用いる。
酸・渋の味がきついので、煎剤にはよくくだいて用い、丸剤の場合は蜜製すべきである。酸による上腹部不快感・胸やけには重曹を投与する。
【産地】 中国、韓国、日本
販売サイト  

ナビゲーション