サトイモ科(Araceae)Arisaema consanguineum Schott.、A. amurense Maxim、マイズルテンナンショウA. heterophyllum Blume、A. ambignum Engler、コウライテンナンショウA. japonicum Blume var. atropureum (Eng.) Kitam.ほか同属植物の塊茎を乾燥したもの。日本産はムサシアブミA. ringens (Thunb.) Schott.、マムシグサA. japonicum Blumeなどの塊茎を輪切りにして石灰をまぶし、乾燥したものである。生姜を加えて炮製したものを製南星、牛の胆汁で炮製したものを胆南星、薬品による炮製を加えていないものを生南星と呼ぶ。
【出典】 | 神農本草経 下品 |
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【別名】 | 虎掌(コショウ) |
【成分】 | カリウム、カルシウム、ケイ酸など |
【効能】 | 鎮静、鎮痙、去痰、消炎、抗腫瘍作用 |
【薬理作用】 | 去風解痙・燥湿化痰 鎮静・鎮痙作用、去痰作用、抗腫瘍作用 |
【臨床応用】 | 去風痰・鎮痙の常用薬である。 去風痰に用いる。風寒痰湿が経絡を阻害し、眩暈・顔面神経麻痺・半身不随・手足痙攣・牙関緊急などがあらわれたとき(脳卒中・破傷風などにみられる)に用いる。 鎮痙に用いる。破傷風・小児の熱性痙攣には胆南星を常用する。 最近、腫瘍に対し補助薬として試験的に使用している。一般に生南星を用い、去痺・鎮痛作用を利用するが、治療効果に関しては今後の経過観察に待たねばならない。最近の報告によると、鮮天南星の内服(15gから次第に増量して45gまで用い、煎じて茶代わりに飲む)と局所治療(坐薬)で子宮頸ガンを治療し、かなりの臨床効果があった。 生南星を、化膿症(寒冷膿瘍に適す)の疼痛や打撲傷に外用する。 また、よだれが多いときには、生南星末を酢で練って足底の涌き泉穴部に塗布すると効果がある。 |
【性味】 | 製南星は、味は微辛、性は温。胆南星は、味は辛・苦、性は微温(涼ともいわれる)。生南星は、味は辛・苦、性は温。 |
【帰経】 | 肺・肝・脾経 |
【処方】 | |
【用量】 | 胆南星・製南星の内服は、毎回3~6g。生南星の外用は適量。ガンの治療に内服するときは、状況によって3~15gまで量を増やす。ただし肝疾患のあるものには用いるべきでない。 |
【使用上の注意】 | 3種の天南星の比較:生南星は、毒性が強いので内服には用いない方がよく、一般に外用する。生南星を内服する必要があるときは、煎剤としてだけ使用し、生姜を配合して十分に煎じる(生南星に対して一定の炮製を行ったことになる)。服用して舌がしびれたときには砂糖で解毒できる。 製南星は、毒性が弱く散風寒・通経絡の効能が強いので、脳卒中に適している。 胆南星は苦寒の牛胆汁で製したもので、はげしい燥性は大幅に減少して性味が苦涼に転じている。化痰熄風の力が強く、しかも燥熱による傷陰のおそれがないので、熱痰による痙攣に適している。 半夏との比較:半夏は辛散で胃腸に対して有効で、嘔吐を止め・腸胃の湿痰を除く力が強い。天南星は辛燥で経絡に対して効果があり、風寒を散じ、経絡の風痰・湿痰を除く力が強い。脳卒中・てんかんなどで、嘔吐・頭がふらつく・眩暈などの風痰の症状があるときには、天南星と半夏を併用する。 陰虚による燥咳には天南星を用いてはならない。妊婦には禁忌である。 中毒に対する処置は、半夏と同じである。 |
【産地】 | 中国、日本 |
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