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  ホルモン補充療法

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  「ホルモン補充療法」について
女性ホルモンの低下に伴って起きてくるいろいろな症状や疾患を予防・治療しようという目的で、「ホルモン補充療法」が中高年女性の医療や更年期医療に取り入れられています。また、日常生活に差し支えるような更年期障害に対する治療の一つでもあります。「ホルモン補充療法」には、医師の判断と慎重な管理が必要です。

「Q1.ホルモン補充療法とは?」
A.卵巣から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)分泌の急激な低下によって起こる更年期障害を、エストロゲンを補うことによって治療したり、予防したりする治療法のことです。現在では、卵胞ホルモン剤と黄体ホルモン剤を併用して服用します。欧米ではかなり広く行われており、米国、イギリス、ドイツで対象人口の30%前後、最も普及しているスウェーデンでは50%に届こうとしています。
「Q2.ホルモン補充療法はどんな症状に効くのですか?」
A.急激なエストロゲンの低下によって現れる身体的症状(のぼせ、ほてり、異常発汗などの自律神経失調症、膣の乾燥感、性交痛など)、少し遅れて起こる泌尿・生殖器の萎縮症状には良く効きます。また、長期的にエストロゲンが不足することにより起こる高脂血症、骨粗鬆症などの予防効果が報告されています。
「Q3.使用されるホルモンの種類は?」
A.卵胞ホルモン剤と黄体ホルモン剤が使用されますが、
主なものとして以下のものがあります。
女性ホルモン剤
一般名 商品名 メーカー名 主な剤型
エストリオール エストリール
ホーリン
持田製薬
帝国臓器
錠剤
錠剤、膣錠
結合型
エストロゲン
プレマリン 旭化成
ワイスレダリー
錠剤
錠剤
エストラジオール エストラダームTTS
エストラダームM
エストラーナ
キッセイ
キッセイ
久光
貼付剤
貼付剤
貼付剤
黄体ホルモン剤
一般名 商品名 メーカー名 主な剤型
酢酸メドロキシ
 プロゲステロン
プロベラ
プロゲストン
ヒスロン
アップジョン
ワイスレダリー
協和発酵
錠剤
錠剤
錠剤

「Q4.ホルモン補充療法は誰でも受けることが出来るのですか?」
A.①乳がんや子宮体がんの治療中の人は服用できません。②血栓の出来やすい人、③肝機能障害、子宮筋腫、乳腺症、子宮がん、乳がんに過去かかったことのある人達が服用する場合は十分な管理のもとに行うことが大切です。
「Q5.ホルモン補充療法には発癌性があるのですか?」
A.卵胞ホルモン剤を単独で使用すると子宮内膜がんの発症率が2倍程度に上がると報告されています。しかし、黄体ホルモン剤を併用すると非投与に比較して1/3以下になることが報告されています。
 乳がんに関しては、増えるという報告や減るという報告がありますが、全体的には結論が出されているわけではありません。卵胞ホルモン剤の単独使用で相対危険率が約1.4倍に、また、黄体ホルモン剤を併用しても抑制効果は認められないと言われています。5~10年の併用により1割程度上昇するとの報告が多いようです。
 しかしながら、乳がんの切除後の生存率はむしろ高いことが報告されています。これは、乳房検診を実施することが望ましいとされており、その結果、早期発見、早期治療が可能となったことに起因すると考えられています。また、ホルモン補充療法を実施した際にできる癌は、転移しにくいとも言われています。
「Q6.ホルモン補充療法の副作用は?」
A.主に乳房の痛みや、子宮出血などです。これらの症状は、ホルモンを減らしたり、変更したりすることによって、ある程度コントロールできます。また、出血は生理様の出血であり、卵胞ホルモン剤に対する正常な子宮内膜反応と考えられます。その他には、頭痛、吐き気、腹部膨満感、帯下などがありますが、ホルモンの量、投与方法を変更するなどにより、ある程度コントロール出来ます。
「Q7.ホルモン補充療法を実施する前に調べることは?」
A.一般的検診、問診に加え乳房検診、婦人科検診、血液検査などを行います。乳房検診、婦人科検診は、乳がんや子宮体がんの有無を調べるもので定期的に実施します。出来れば半年に1回、少なくとも年1回は実施することが望まれます。血液検査としては、卵巣の機能を推定するためにエストラジオール及びFSHの濃度を測定し、エストラジオールが低下し、FSHが増加していることが更年期卵巣機能低下の1つの指標になります。更年期は、女性の体調が劇的に変化する時期でもあり、異常がなくても現在の自分の状態を把握し、閉経後に備えるために健康診断を受けることが望まれます。
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