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生理機能と栄養素の調和が健康を保つ |
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からだの活動は、栄養素を消費することによって行われています。この生理機能の面を「陽」といい、その基礎となる栄養素を「陰」といいます。陽は陰を消費して働くと同時に、陽の働きによって陰がつくられます。健康な状態では、このサイクルが正しく行われています。陽と陰を合わせて 「正気」といいますが、正気は、からだを健康に保つ生理機能であり、病気に対抗する能力でもあります。しかし、なんらかの原因で陽が亢進しすぎると、陰が必要以上に消耗されて不足するという病態になります (「陰虚陽亢」 )。この状態では、からだは相対的に熱の性質に傾き、陽は陰を消耗するだけで、陰をつくることができなくなるので、陰はますます少なくなります。
こうした悪循環をくり返すうち、ついには生命の根源となる「真陰」をも損なうようになります。このような性質をもつ陽気を 「壮火」といいます。壮火は、すでに正常な陽気の性質を失い、病気の原因となる 「邪気」 に変化しています。血液の循環を乱し、血液の成分を変えて調和を乱し、病気をひき起こします。このとき、皮膚にも変化が起こりますが、これも蕁麻疹を発生させる内因になります。
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病気は、生埋機能と病因が戦うために起こる |
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蕁麻疹のメカニズムを理解するために、まず、中医学の疾病観について考えてみましょう。
中医学では、病気は、健康を維持する正気と、正気を壊す、つまり陽と陰の調和を乱す邪気との戦いであると考えます。正気が勝てば邪気は追い払われるので健康を回復しますし、邪気が勝てば病気はますます重くなって、ついには死に至ることもあります。
蕁麻疹は生理機能と病因の勝負がつかない状態
蕁麻疹は、正気と邪気の力が括抗して勝負がつかないため、症状が皮膚にとどまっている状態といえます。邪気を完全に追い払うには正気の力が不足しており、しかも、からだの奥深く侵人してより重い病気を起こすほど邪気の力は強くないという状態が、蕁麻疹として現れていると考えるのです。 したがって、正気の不足が主な原因となって起こっているのか、邪気の性質が執拗すぎるために起こっているのかを見分けて治療を行わなければ、よい結果は得られません。
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