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膀胱の働きと腎 |
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水分代謝には、主に肺・脾・腎といった臓器が関係していますが、最終的に尿を生成して外に排泄するのは、膀胱の役目です。
膀胱には、尿を一時的にためておき、ふだんは外に漏れ出さないようにして、必要な時だけ排泄するという働きがあります。このような膀胱の機能は、全て腎によって管理されています。そのため、腎の機能が失調すると、排尿に問題が起こりやすくなります。
また、腎は、水分代謝の要であると同時に、「精」という生命エネルギーを蓄え、成長・発育・老化など、生命活動そのものをつかさどる臓器です。年をとると排尿に異常が起こりやすくなるものも、腎と老化の密接なかかわりを示すものと言えます。
尿の生成にかかわる臓器
尿がつくられ、排出されるまでには、主に肺・脾・腎の機能がかかわります。飲食物からとり入れた水分は、脾胃の運化作用によって消化・吸収され、肺に回されます。肺は臓腑や体表面に水分を散布するという役目をもっています。各所を潤した水分は、腎によって膀胱に回され、尿となって体外に排泄されます。
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排尿困難の原因 |
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排尿困難とは、力を入れないと尿が出ない、尿が出るまでに時間がかかる、尿のでかたに勢いがない、尿が出終わるまでに時間がかかる、といった症状を指します。
原因として多いのは、腎の機能低下によるものです。東洋医学では、腎の働きを腎陰と腎陽に分けて考えていますが、排尿困難にかかわるのは主として腎陽の問題です。
腎陰と腎陽は水と火のような存在で、お互いにバランスを保ちながら働いています。このうち、からだを温める原動力であり、排尿をコントロールする源でもある腎陽の機能が低下すると、排尿に問題がおきやすくなります。
この他、気や水分の通り道である三焦の滞り、気の不足、尿の生成にかかわっている臓器の機能失調なども排尿困難の原因になります。
診断・治療は、まず、重度の前立腺肥大や腫瘍などがないことを確かめた上で、症状・年齢・体質、からだをとりまく環境などから、からだのどこに一番の問題があるかを見極めていきます。
腎陰と腎陽
中医学では、「精」を含む体内の水分を腎陰、からだを温める原動力が腎陽と考えています。陰陽のバランスがとれているのが正常です。 |
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