【効能】 |
益気固表止汗 |
【適応症】 |
皮膚表面には、衛気という気が流れ、汗腺の開閉による体温調節などによって、体表をしっかりガードしていると考えます。玉屏風散はその衛気が不足した状態に適する処方です。
衛気が不足すると汗をかきやすくなるほか、寒冷刺激に対する防衛力が落ちて風邪をひきやすくなったり、なかなか治らずに長引いたりします。温度変化にも順応しにくいため、少しの温度変化でくしゃみ、鼻水などのアレルギー症状も現れてきます。こんな人に使用します。 |
【類方比較】 |
桂枝湯:風邪の初期で発熱・痛みがある。気の上衝がある人に使用。
防已黄耆湯:気虚で自汗するのですが下半身に水が溜まりやすい人に使用します。
補中益気湯:日頃から疲労し表裏とも気虚の状態にあり、全身機能を高める体力増強剤です。
六味丸:寝汗の原因が陰虚にあり、潤いが不足し、ほてり、排尿症がある人に使用します。 |
【解説】 |
黄耆・白朮の補気薬と防風の袪風薬で構成され、主薬の黄耆と白朮で、肺と脾の気を補い、増強します。とくに肺気が充実され、体表部を固摂する機能が回復すると、汗腺の開閉も正常になり、異常汗は、止ります。少量の防風を配合して、風邪の侵入を防ぎ、風邪などの感染症を未然に防止します。まさに漢方の治療原則の扶正祛邪に基づいた処方です。抵抗力を高めて、病原菌を寄せつけないようにしていきます。
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【治療の現場から】 |
玉屏風散や桂枝湯は、肌表が緩んで、昼間でも汗をかく場合に使用します。陰虚から生じたほてりが、夜中に汗を押し出し、寝汗となる場合には六味丸を用います。風邪や気管支炎、慢性鼻炎、花粉症、慢性蕁麻疹、喘息の長期管理などに応用されています。桂枝湯は調和営衛で主に営衛不和の自汗を治し、かつ解表で外感風寒の表虚証を治します。
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【臨床応用】 |
表虚自汗、風邪引きやすい人や、アレルギー性鼻炎、じんましん |