婦人科

卵巣の腫瘍・・・卵管、卵巣の発育異常

卵巣炎 卵巣の腫瘍

卵巣の腫瘍は、いちばん種類が多く、いちばん頻度が高く、しかも腫瘍の性質が非常に複雑であるのが特徴です。しかも、良性に属する腫瘍と悪性に属する腫瘍があって、悪性の腫瘍が占める率が非常に高いのです。その上、卵巣ガンはどの臓器のガンよりも悪性度が強くて、その死亡率は常に高くなっています。
卵巣腫瘍があるかないかということは、診察によって容易に診断がつくのですが、それが悪性であるかどうかということは、手術前に確実に判断することが非常に困難であることから、手術して初めて悪性のものとわかり、手遅れになってしまうことがあるのも、死亡率が高くなってしまう原因の一つです。
何回診察を受けても、やはり卵巣に腫瘍があると診断を受けたときは、長期間放置することなく、手術を受けるほうが賢明だといえるでしょう。
一般的に卵巣の腫瘍は、腫瘍の中が水溶液で満たされている嚢胞性のものと、かたいこぶのような充実性のものに分けられ、前者は良性で、後者の八〇%は悪性です。
単なる診察ではなかなか区別がつきにくいのですが、かたい腫瘍が、若い人にできている場合は要注意と考えなくてはなりません。卵巣の悪性腫瘍はどの年代にも発生するものですが、年齢が若いほどその悪性度は高くなってきます。その代表的なものが卵巣ガンなのです。

良性腫瘍

◎偽ムチン嚢腫
卵巣腫瘍のうち三分の一を占めるくらい多いもので、三〇歳前後に発生する率が高いものです。大きさは、親指頭大から大人の頭ぐらいまであり、そのまま放置しておくと、十数キロに及ぶ巨大腫瘍になることもあります。袋の中は多房性といっていくつもの部屋に分かれていて、その中身は、粘っこい液体で満たされています。
◎皮様嚢腫
偽ムチン嚢腫に次いで多いものです。全卵巣腫瘍の一〇%ぐらいを占めています。鶏卵大から小児頭大ぐらいが普通で、ときにはおなかの上から、ころころした腫瘤を自分で触れることができます。中身は、おかゆのような脂肪と、毛髪、骨、歯などが入っています。
◎ブレンネル腫瘍 充実性腫瘍の良性のものです。卵巣以外には発生しない腫瘍で、大部分の卵巣腫瘍は三〇歳前後までが好発年齢なのですが、この腫瘍は主として四〇歳以上の人に発生するもので、五〇%は五〇歳以上の人にみられます。

悪性腫瘍

◎卵巣ガン
卵巣ガンは原発性のものはまれで、続発性のものが最も多いものです。
●原発性卵巣ガン
非常にまれではありますが、予後は不良です。
●続発性卵巣ガン
偽ムチン嚢腫や皮様嚢腫などが二次的に悪性変化を起こしたもので、最も多いものです。
●転移卵巣ガン
ほかの臓器ガンからの転移によるもので、クルーケンベルグ腫瘍(胃ガンからの転移、隣接臓器からの転移によるもの)です。
どのような理由によるかわからないのですが、女性の性器のなかで転移が最も多いのが卵巣なのです。
その原発巣として最も多いのは、胃ガンで、次に乳ガン、腸ガンの順になっています。転移の道筋は主にリンパ道によるもので、何の異常もない健康な卵巣に転移してくるのが普通です。
◎未分化胚細胞腫
原発性卵巣ガンの異型とみられる特殊なガンです。思春期前後、一〇歳代に発生するのが特徴で、若年卵巣ガンともいわれるものです。エックス線照射によく反応するのも特徴です。
◎奇形腫
かたく充実している腫瘍で、内容は主に脂肪ですが、毛髪は骨、歯が含まれています。二〇歳代から三〇歳代に最も多く発生するものです。
◎卵巣肉腫
最も普通には原発性のものですが、肉腫自体非常に少ないものですし、ほかの腫瘍と鑑別することが困難なこともあるので、はっきりした頻度もわからないくらいの病気です。

卵巣腫瘍の症状

にぎりこぶし大くらいの大きさになるまでは、ほとんど何の症状もありません。卵巣にいろいろな腫瘍ができていても、卵巣は、両側に一個ずつあるので片方が健全な場所や、腫瘍ができている側でも、一部に健全な部分が残されている場合には、月経異常も起こさないし、普通に妊娠もします。
このため、下腹が痛いとか、おりものが多いとか、妊娠したとかいう具合に、何かほかの病気のために診察を受けた際、ついでに発見されることが多いのです。
腫瘍自体は痛むこともないので、主な症状としては、腫瘍が大きく発育することによる腹部の膨満や圧迫からくるものです。
悪性腫瘍の場合は、気がつかないままに腹水がたまってきて、大量になるとおなかがだぶだぶになるほどふくれてきます。さらに大きくなってきますと、排便は排尿が次第に困難になってくるし、足にむくみが出てくるようにもなります。
また、卵巣腫瘍の茎捻転といって、腫瘤が、卵巣のつけ根のところを軸にして回転するために起こる症状があります。突然、激しい下腹痛におそわれて、吐き気や嘔吐を伴って、ときには、ショック状態にまで陥ることもあります。このような場合には、緊急に手術を行わなくてはいけません。

卵巣腫瘍の治療

原則として、ほとんどすべて手術によって取り去ることです。前にも述べたように、卵巣の腫瘍は、悪性であるか良性であるか前もって診断をつけることが困難であることと、腫瘍自体悪性である度合いが、かなり高率であるからです。しかし、例外としては、小さくて明らかに嚢胞性である場合には、ときには自然に消えてしまうこともあるので、直ちに手術をしないで、二,三ヶ月に一回ぐらいの割合で定期検診を受け、さらにどんどん大きくなるようならば手術をしたほうがよいでしょう。また、妊娠初期の貯溜嚢胞も自然に消えてしまうことがありますので、急いで手術をしないで経過を観察することも必要です。

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