中医学からみた腹痛
「おなかが痛いといって、子どもが急に泣きだした」「下腹部の両側が強く痛む」「へそのまわりが脹って痛い」・・・。
腹痛は、痛みのおこり方や部位、性質、随伴症状など、さまざまな条件を総合して、診断と治療を行うことが大切です。
腹痛は、滋養の停滞や栄養不足によって起こる
頭痛や腰痛と同じように、中医学では、腹痛のメカニズムには二つのタイプがあると考えます。
外から侵入したりからだの中で生まれる「病邪」や「病理産物」といった病因が、からだの活動にかかせない「気」や「血」などの滋養物質の流れを滞らせると、痛みがおこります。このようなメカニズムでおこるのは、「実」の腹痛です。
また、からだの働きがおとろえて、滋養物質が不足したり、活動力が低下するために、栄養不足の状態となる場合にも、痛みがおこります。このようなメカニズムでおこるのは、「虚」の腹痛です
痛みのおこり方や部位性質などによってタイプがわかれる
腹痛は、急性と反復性・慢性といったおこり方、痛む部位、症状の性質などに特徴があります。これらを総合して、タイプわけを行います。
急におこる腹痛の多くは実痛です。一方、くり返したり慢性的におこる腹痛の多くは虚痛です。
へそのまわり、腹部の両側、腹部の中央、腹全体など、痛みの部位も、タイプわけの手がかりです。
また、熱による痛みか、冷えによる痛みかというように、腹痛の性質もたいせつです。
さまざまな特徴をみきわめながら治療する
腹痛の治療のポイント
急性と反復性あるいは慢性のみきわめ、痛みの部位のみきわめ、熱と冷えといった症状の性質のみきわめなどです。 なお、突然激しい痛みにおそわれ、チアノーゼ・冷や汗・高熱などを伴う場合は、急いで病院に行くことが大切です。
月経痛などを除いた腹痛のうち、よくみられるタイプの診断と治療を考えます。