現代医学による胃腸病の診断と治療
梅雨時や夏になると多くなる胃腸病。身近な病気であるだけに市販薬もたくさん出回っています。しかし、合う薬がなかなか見つからず、症状が慢性化してしまっている人も多いようです。現代医学と中医学の両面から、さまざまな胃腸病について解説いたします。
ピンポイントでの治療
現代医学では、胃腸病は病変が起こった部位の病気と考え、中医学のように消化器系をトータルにとらえて診断・治療をすることはありません。むしろ、病変が起こっているぶいをつきとめてピンポイント的に治療するという方法がとられています。
診断は、まず病歴を聞くことから始め、痛みの有無(痛みがあればその場所と性質・痛み始めた時期)食事の内容・悪寒・胸やけ・悪心・嘔吐・大小便の状態、そして重症感の有無などを聞き出します。
潰瘍など問診だけで診断がつくものももありますが、殆どの場合は、血液検査・尿検査・検便・腹部レントゲン撮影・内視鏡検査を必要に応じて行います。
胃腸機能の乱れは病気とみなされない
胃腸病の場合、自覚症状が軽いと市販の薬をのんで治す人が多いのですが、顔色が悪くなった・顔につやがなくなった・痩せてきた・微熱が続く食が細くなったという訴えや、なかなか治らない・便通が悪い・残便感がある・便が細くなったという症状があれば、やはり検査が必要です。
その一方で、検査結果がよければ、症状があっても病気とはみなされない場合があります。
胃アトニーや、胃が冷えて機能が乱れているといった場合には、胃腸の蠕動や胃液の分泌を高めたり、消化酵素を与える程度というのが現状です。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の治療は制酸剤と胃粘膜保護材がメイン
内科を受診する患者さんの場合、胃がもたれるという程度のものは少なく、びらん性胃炎や胃・十二指腸潰瘍・胃ガンを患っていることがおおいため、医療の現場で用いられる抗潰瘍薬は、制酸剤と胃粘膜保護材が中心です。健胃剤が用いられることはあまりありません。
また、ストレス性の胃腸病や、情緒の変化に伴っておこる機能異常(過敏性結腸症)には、安定剤や消化を助ける薬を与える場合があります。
現在では、胃酸を徹底的に抑える薬を利用すれば、大きな潰瘍でも殆ど1~2ヶ月で治るようになりました。しかし、新薬には他の臓器に対する配慮がないため、効き目が強い反面、便秘しやすくなったり、投薬を中止すると再発する事があります。