肩こりの原因とメカニズム
からだが正常に働くためには、気や血がからだの隅々に行きわたる必要があります。ところが、何らかの原因で気や血がめぐらなくなると、からだに栄養や潤いが行きわたらず、からだの各所の働きが悪くなります。
肩こりは、肩の筋肉に気や血がめぐらなくなって起こる症状です。
原因としては、
①ストレスや怒りなどによって内臓(主に「肝」と「脾胃」)の機能が低下する、
②内臓の機能低下が長びいたために、からだに必要のない物質が生まれ、それが気や血の通り道をふさぐ、
③体内に侵入した「邪」が気や血の通り道をふさぐ、
④悪い姿勢をとり続けるために気や血のめぐりが悪くなる、といったことが考えられます。
このうち、慢性の肩こりの原因となりやすいのは①と②です。いずれも肝と脾胃の働きに問題があるために起こります。
治療としては、①肝と脾胃のどちらに問題があるのか、②気と血のどちらが主に滞っているのかなどを見極めることから始めます。
●気と血の役割
「血」には、からだに栄養と潤いを与える働きがある。また、「気」がからだの生理機能を活発にするのに対して、血はからだを静かな状態に保つ機能がある。血を蓄えたり、成分を調節したりする臓器は「肝」。
●気の滞り
痛みの特徴・・・脹っている。
部位・・・痛む部位があちこち移動する。
経過・・・こりが出たり消えたりする。比較的急性が多い。
●血の滞り
痛みの特徴・・・硬い。押すと痛む。
部位・・・同じ場所がチクチクと刺すように痛む。
経過・・・こりが続く。慢性。
その他・・・痛む部分の毛細血管が浮き出て、皮膚が暗紅色になる。肩以外の筋肉も痛む。舌の色が紫に近い暗い色。唇が黒ずむ。
●脾胃とは
胃腸・膵臓・肝臓・胆嚢・小腸など、消化器系の臓器の働きすべてをさす。「気の生産工場」ともいえる臓腑で、飲食物から吸収した栄養分を気に変えて、体中にめぐらせている。脾胃の機能が低下すると気を十分に生産できず、また余分な水が体内に停滞してしまう。
●肝とは
喜び、怒り、哀しみなど、精神情緒面をつかさどる臓器。血を蓄え、血液の循環の調節を行っている。また、筋肉の動きを管理する働きもある。そのほか、自律神経系、ホルモン系、内分泌系、栄養代謝系、胆汁の分泌、肝臓の機能の一部、女性の生理機能といった幅広い働きを含んでいる。
●脾胃と肝の関係
脾胃と肝は相互作用があるため、どちらかに機能低下があると他方にも影響を与えやすい。