西洋医学からみたかぜ
「かぜの原因はウイルス」という考え方 西洋医学では、鼻から肺に至るまでの気道に急性の炎症を起こし、それがもととなってさまざまな症状を引き起こした状態を、「かぜ症候群」と総称しています。一般的に「かぜ」という場合は、症候が比較的軽いものを指すことが多いようです。
かぜの原因は、ほとんどがウイルス感染によるもので、まれに寒冷やアレルギーなど非感染で発症することもあると考えられています。病気の経過は、一週間程度で治ってしまうことが多く、長引く場合はマイコプラズマや細菌の感染、気管支喘息などが疑われます。
現在、ウイルスに直接効く薬や治療法はまだ研究段階のため、治療は対症療法が中心になります。
治療に使われる西洋薬
かぜの治療は、まず安静を保つことを第一に指導します。発汗作用のある薬を与えることが多いので、衣類や寝具をまめに交換して体を冷やさないようにし、水分の補給、ビタミンCの摂取を心がけるようにします。
投薬は、発汗作用がある成分、それぞれの症状を抑える消炎剤、必要に応じて解熱剤や抗菌剤が用いられます。さらに、強力な咳の薬には去痰剤を加えるなど、副作用を予防する成分と組み合わせることがあります。
また、一時はかぜ薬の代名詞のようにいわれたアスピリンは、発汗作用が非常に強いため、軽いかぜに用いるとかえってこじらせてしまうことがあります。アレルゲンとしての問題もあり、最近ではかぜの治療に使われることは少なくなりました。
抗生物質の乱用でかぜをこじらせることもある
今でこそ、かぜは簡単に治る病気ですが、抗生物質が発見され、二次感染を防ぐことができるようになるまでは、死に至ることもある怖い病気でした。そういう意味では、抗生物質の果たした役割は大変大きいといえます。しかし、乱用すると重大な病気の引き金となってしまうこともあります。
軽いかぜに抗生物質を用いるのは、存在するかどうか分からない敵に対して攻撃を仕掛けるようなものです。病因が隠れている場合には確かに有効ですが、そうでない場合には、薬の作用が強すぎてかぜをこじらせてしまうことも多いのです。三八度程度の熱があると、からだが抵抗力を失い、二次感染しやすくなることを恐れて、抗生物質を用いることがありますが、必ずしもよい方法とはいえないようです。