【出典】 |
神農本草経 下品 |
【別名】 |
桃核仁(トウカクニン)、小桃仁(ショウトウニン)、大桃仁(ダイトウニン)、大扁桃仁(ダイヘントウニン) |
【成分】 |
青酸配糖体のアミグダリン(amygdalin)、酵素のエムルシン(emulsin)、脂肪油ほかを含む |
【効能】 |
消炎性駆瘀血薬、浄血、鎮痛、緩下、消炎、解毒 |
【薬理作用】 |
破血去瘀・潤燥滑腸
鎮痛・消炎・解毒・通便作用 |
【臨床応用】 |
去瘀の常用薬である。
- 月経痛や無月経で、下腹部が脹って痛む・月経血がすっきりと出ない・血塊がまじる・月経血が紫黒色・月経量が少ない・ひどいときには数ヶ月来潮しない・舌質が紫か舌の辺縁に瘀点(暗紫色の斑点。瘀血の存在をあらわす。)がある・脈が渋か沈緩などの血瘀の症状があるときに使用する。
- 打撲捻挫による内出血・疼痛には、傷の新旧・内傷(内因によって生じたもの。顕著な外因を認めない、いわゆる腰痛証などがこの範疇に入る。)・外傷を問わず桃仁を使用して去瘀する。
- 潤燥の便秘に用いる。とくに外傷後の便秘や寝たきりによる運動不足で腸の蠕動が減少したための便秘に適している。脂肪油の潤燥・滑腸の作用を利用する。
熱性疾患・打撲損傷による内出血にともなう便秘で、腹部の膨満と疼痛・譫語・煩渇・脈が沈渋・発熱などの症状があるときに用いる。
- 急性虫垂炎・肺膿瘍には、桃仁を補助薬として使用する。
このほか、桃仁には瘀血による腫瘤を縮少する作用がある。
|
【性味】 |
味は苦・甘、性は平 |
【帰経】 |
心・肝・大腸経 |
【処方】 |
桂枝茯苓丸(料)、桃核承気湯、潤腸湯、疎経活血湯など |
【用量】 |
3~9g。大量に服用するのはよくない。砕いて使用すべきである(すなわち桃仁泥とする)。 |
【使用上の注意】 |
- 桃仁の薬性は単純なので、活血去瘀剤に広く応用されるものの一つである。破瘀薬に配合すると破瘀し、行血薬に配合すると行血する。単独では弱く、一般に主薬として用いない。
- 桃仁と杏仁は便秘に効果がある。古人は、杏仁は行気するので気滞をともなう便秘に適し、桃仁は行血するので血瘀をともなう便秘に適しているといっている。また、脈象を参考にするときには、浮脈は気に属すので杏仁を・沈脈は血に属すので桃仁を使用するのがよいとしている。以上のような区別を参考にすればよいが、実際には一般の便秘に桃仁と杏仁を併用したり・相互に代用してよい。
- 習慣上妊婦には桃仁を使用しないので、便秘に対しては麻子仁に厚朴を加えたもので代用する。
|
【産地】 |
中国 |