瘀血(オケツ)と桂枝茯苓丸  
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  おもしろい中医学の話

中医学の考えで、おもしろい解説をしてみたいと思います

  瘀血(オケツ)と桂枝茯苓丸
日本の漢方は女性の病気に桂枝茯苓丸をよく使います。これを中医学の考えで解説します。国内の各メーカーの販売個数上位の処方です。 婦人科領域の医師の方々もよく使われており、たぶんトップの処方だと思います。 これについて少々疑問もあり、詳しくやさしく私見を述べたいと思います

駆瘀血剤としての桂枝茯苓丸は、現在国内で一番多く使われている処方です。
駆瘀血剤は、温という薬性が必要です。停滞している血に流れをよくするが駆瘀血剤の目的ですので、冷やせば血管は収縮に導くので当然薬性は「温」少なくとも「平」である必要があります。(牡丹皮という例外もあります)薬味は、辛ということを要求されます。従って駆瘀血剤は、「辛温」という薬味薬性をもった方剤が標準的なのです。

 この「辛温」は香燥という特徴があります。香りがする生薬というのは体内の血・津液・精という基礎物質を乾燥させる性質があります。これを「辛温香燥」といいます。

 女性の生理との関連

毎月女性は男性と違い月経という生理があります。同じ月内でもその前後や最中では体調は異なっているはずです。特に生理が終わった後では血を消耗していてその血が快復するまでは体調はよくないはずです。しかも、快復したと思ったら、また、月経がきて女性は常に血を消耗しやすい体質になっています。そのうえ妊娠するとなおさらです。女性は、このことから、血虚・陰虚になりやすいということです。

血虚と陰虚の女性と辛温香燥の薬物の関係

日本国内の漢方を処方して服用させている人達(病院・薬局)は、辛温香燥の方剤である「桂枝茯苓丸」をどうして多用しているのでしょうか?

中国の古典に下記のような記載があります。

「池で魚を釣るのに池の水を抜いて魚を捕るが如し」とあります。駆瘀血剤を使いすぎるということは、池の水を抜いて魚を捕るようなものということで魚が全部とれてよいように思われるけれども、池の水がなくなったの池の機能をしなくなってしまいます。瘀血は除去できてもその女性の身体全体の働きが悪くなって調子が狂ってくると言うことになります。
例えば、桂枝茯苓丸を服用している人があったとすると、血が少なくなったので確実に生理は少なくなります。長期にわたって服用していれば殆どの場合そうなるのであります。

瘀血をとる漢方薬の使用法

長期の服用には、四物湯などの補血薬・当帰芍薬散などの健脾・補血剤などを併用されると上記などの症状が改善されます。これに一番よい処方は「冠脉通塞丸」・桂枝茯苓丸四物湯の併用・桂枝茯苓丸当帰芍薬散の併用であると思います。
【治療の現場から】

癌治療をおえて3年経った患者
主訴・・帯状疱疹後の神経痛
年齢・・62歳 女性
その他の症状・・便秘
この女性に、桂枝茯苓丸を2日分投与しました。通常便秘があれば他の方剤にするのですがとりあえず出してみました。すると、一服めを服用後1時間後に便通があったそうです。この方は非常に頑固な便秘症で困っていた方です。2服のんだ後再度便通があり下痢をしました。そこで「桂枝茯苓丸」のせいかと思ったそうです。しかし、体調もよく顔面の神経痛も少し柔らいでいるのでいいかと思ったそうで、夜に3回目の服用をした後、便通を感じトイレに行こうとしたら、今度は、失禁してしまいました。翌日連絡をもらい、補中益気湯を併用させました。その後何にも体に変化はなく治療に成功いたしました。この方は、瘀血の原因が、気の推動作用の失調によったものと考え直に補中益気湯と桂枝茯苓丸と四物湯の併用に変えました。
半年で廃薬となり、現在も元気に生活をされております。

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