中医学から見た膀胱炎
中医学では、膀胱炎は「湿熱の邪」が膀胱に進入して起こると考えます。わかりやすく言いますと、長く停滞していた体の体液が熱くなり膀胱の水路を犯し膀胱炎を起こすと言うことです。そのため、湿熱の邪を取り除くことが治療の基本となります。
この状態では、抗生物質や抗菌剤の服用で数日で改善します。しかし、治療後も症状が残ってしまったり、膀胱炎を繰り返す場合には、単に邪だけの問題ではなく、体の側に何らかの問題があると考えます。
湿熱の邪・・・水分や湿気(湿)と(熱)が結びついた発病因子。湿熱そのものが外部から体内に侵入する場合と、体内で発生した湿が熱される場合がある。体内に湿熱を持っている人は、外邪の湿や熱も受け入れやすい。
具体的な問題としては
(1)消化器に湿熱の邪があり、外部の湿熱を受け入れやすくなっている。
・脾胃と湿熱の関係
体内で最も湿熱を生じやすい臓器が、消化・吸収を主る。脾胃。脾胃の湿熱が直接膀胱炎の引き金になることはないが、膀胱が過敏な状態になっていると、脾胃の湿熱の影響を受けやすくなる。
(2)ストレスによって肝に熱が発生し、膀胱に影響を与えている。
(3)心に熱が発生して、膀胱に影響を与えている。
・心と小腸と膀胱の関係
心は、小腸と密接な関係にあります。小腸は、胃腸が消化吸収した飲食物の残りから、さらに必要なもの(清)と不必要なもの(濁)を分ける働きがあります。必要なものは吸収し、不必要なもののうち、固形物は大腸へ、水分は膀胱に送っています。(泌別作用)そのため、心に生じた熱の影響で小腸の作用が失調すると、膀胱に送られる水分が混濁し、米のとぎ汁のような尿が出ます。
(4)排尿をコントロールする腎の機能が低下している。
・腎と膀胱
腎は、水分代謝をつかさどる臓器で、膀胱とは五臓の中で一番密接な関係にあります。腎機能のうち、排尿をコントロールする働きを「気化作用」といいます。膀胱炎のあとに残尿感や頻尿が残ってしまう「神経性膀胱炎」は、中医学的には、気化作用の失調によるものと考えられます。
この4点が考えられます。この場合には、体のどこに問題が起こっているかを見極め、失調している機能を回復することによって、膀胱炎の再発を防ぎます。