精子異常
男性不妊の原因には、大きく分けると、①精子に問題がある場合、②精子の通路に障害がある場合、③性交障害(勃起不全など)の3つがあります。また、射精時の精液の量が十分にないと受精しにくいといわれています。
精子に問題がある場合
WHOは、精液1mlあたりの精子の数が2000万以上、運動率50%以上、奇形率15%以下、1回の射精量が2ml以上を正常としています。そのため、この基準に達しない場合、男性不妊症と診断されます。
精子の数に問題がある場合は、次のような病名があり、このような状態では受精しにくくなります。
(1) 精子減少症・・・精液1ml 中の精子の数が2000 万以下
乏精子症ともいわれ、多くは原因不明ものが多く不妊症の原因となります。
(2) 無精子症 ・・・精子がまったく形成されない
(3) 精子死滅症・・・精子に受精能力がまったくないか死滅
また、精子の運動率が低下している病気では、精子無力症と呼ばれる病気があります。これは、市販の胃薬を常用することでも起こるといわれ、プロラクチンというホルモンが高値となって精子の運動率が低下します。
精子異常の主な原因
1) クラインフェルター症候群といわれ、先天的な性染色体の異常により、妊娠させるために十分な精子をつくることができずに不妊症になってしまいます。
2) 停留睾丸は、睾丸が陰嚢の中へ降りてこないで、腹部やそけい部にある状態です。陰嚢内にないので、睾丸が高い温度にさらされてしまい精子の機能が低下して不妊症になってしまいます。
3) 成人男性がおたふく風邪にかかると、睾丸炎になる場合があります。睾丸炎になると、精子の機能に問題がおき、不妊症の原因になることがあります。妊娠能力の障害は10
数%といわれています。
4) 精索静脈瘤は、睾丸の後ろにある副睾丸から伸びている精管と血管が一束になった精索の細い静脈にこぶができた状態をいいます。このこぶによって静脈がうっ血すると、陰嚢内の温度が上昇し、精巣の発育不全や精子の形成不全を引き起こしてしまい、不妊症の原因になります。
5) 飲酒過多や喫煙習慣があると、精子が正常に形成されなかったり、精子の奇形が多くなり、不妊症の原因になります不妊症と考えないのが普通です。