慢性関節リウマチ 治療の現場から
高齢の女性に多い、自己免疫疾患のひとつ
慢性関節リウマチは、免疫機構が自分の関節を攻撃する、自己免疫疾患と考えられています。根本的な原因は、現在のところわかっていません。また、重症度や進みかたが人によってさまざまで、予測がつきにくい病気でもあります。
発病は圧倒的に女性に多く、男女比は1対3といわれます。しかも、高齢者ほど発病率が高くなるのも特徴です。
発熱や手足のこわばりなどからはじまる
関節には不動関節・半関節・可動関節の3つがあります。慢性関節リウマチは、可動関節の滑膜が炎症をおこす病気です。したがって、全身の可動関節におこりますが、手足が主体になります。
はじめは熱っぽい・だるい・手足がこわばる・貧血など、全身症状からはじまり、つづいて関節の腫れ・痛み・熱感などの関節症状が現れます。
診断は、朝のこわばり・手関節や手指などの好発部位に通常は対称性に3カ所以上現れる関節炎・リウマトイド結節・血液中のリウマトイド因子・関節のX線所見などを判断して行います。
進行をおさえ、関節の機能を維持する
根本的は治療法が確立されていないため、関節を適度の運動を行いながら、薬で病気の進行を遅らせるのが一般的です。
急性期には、鎮痛と関節の保護が重要ですが、この時期をすぎたらリハビリを加えて、関節の機能を維持するようつとめます。私は、鎮痛のために非ステロイド系の抗炎症剤を使いますが、ステロイド剤は、いったんはじめると減量によって症状が悪化して中止することがむずかしいので、使いません。また、病気の進む可能性や、薬の副作用についても患者さんに十分は説明を行い、精神面でのサポートも欠かさないようにしています。
全身管理や炎症のコントロールは内科的な治療が中心となりますが、関節機能の評価やリハビリなど、専門家である整形外科医と協力することが必要です。場合によっては、外科的な治療が必要になることもあります。