越婢加朮湯は風水に対する代表処方です。「風水」とは、アナフィラキシー型アレルギー反応・炎症その他により、全身の毛細管透過性が亢進して生じる浮腫と考えられます。
主薬は麻黄で、体温上昇の状況では発汗作用があり解熱に働き、気管支平滑筋を弛緩して鎮咳し、また顕著な利尿作用をもちます。
越婢加朮湯は主として利尿作用を利用しますが、末梢血管拡張による血管透過性の改善効果や、抗アナフィラキシー作用もあるのではないかと考察されています。
石膏は解熱・鎮静・消炎作用をもち、カルシウムによって血管透過性を低下させ、また発汗中枢を抑制して麻黄の発汗作用をおさえ利尿効果を強めるようす。
甘草・大棗は抗アナフィラキシー作用をもち、諸薬を調和させます。生姜は末梢血管を拡張し、胃腸機能を促進しまた軽度の利尿作用をもちます。白朮は健脾利水の作用があり、組織内の水分を血中に引き込み、排尿によって除きます。
以上のように、血管透過性の改善・抗アナフィラキシー・消炎・解熱・利尿などによって病態を改善するものです。
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