【効能】 |
気血双補・温陽去寒 |
【適応症】 |
補気の基本処方の「四君子湯」と補血の基本処方の「四物湯」を組み合わせ、補気の黄耆と温中散寒の桂枝を加えたものに相当し、「気血双補」の処方になっています。すなわち、機能面、物質面の消耗に対して用います。気血両虚で、寒け・四肢の冷え・下腹部痛などの虚寒の症候をともなうものに使用します。舌質は淡白で胖大・脈は沈細弱 |
【類方比較】 |
補中益気湯:十全大補湯と同様に体力が衰え、四肢倦怠感、食欲不振などを訴えるが、貧血症状や皮膚乾燥のない場合に用います。(気虚と中気下陥)
小建中湯:体力虚弱者、とくに小児で疲れやすくて血色がすぐれず、腹痛、鼻出血などを訴え、腹直筋の緊張を認める場合に用います。
六君子湯:心窩部(みぞおち)の膨満感、食欲不振、疲労倦怠感などがあり、心窩部振水音を認める場合に用います。(脾虚の痰湿)
|
【解説】 |
人参・黄耆・白朮・茯苓・甘草は、全身の機能を高め代謝を促進し、消化吸収を強め、元気をつけ疲労感を除き抵抗力を増します(補気健肺)。
たんばく合成、造血、免疫能増強に働き、白朮・茯苓は、組織中や消化管内の余剰の水分を血中に引き込んで利尿によって除きます。
地黄・当帰・芍薬は、豊富な栄養物を含み、全身を栄養、滋潤し、神経機能や内分泌機能を正常化します(補血)。
当帰・川芎は、血管拡張により循環を改善し、栄養物の分配、配給を強めます(活血)。桂枝は、血管拡張により内臓や末梢の循環を強めて体をあたため(温中散寒)、唾液、胃液の分泌を高めて消化吸収を補助します。黄耆・当帰は、肉芽形成を促進します。
|
【治療の現場から】 |
★腰、膝に力が入らない.耳鳴り、夜間尿、性機能減退があるときは、八味地黄丸を合方します。
|
【臨床応用】 |
貧血症・慢性肝炎・慢性腎炎・その他の慢性疾患・産後・出血のあと・肉芽形成不全・自律神経失調症などで、気血両虚を呈するもの。これに準じ、虚寒の症候をともなうものに使用します。 |