西洋医の立場から・・病気の進行をおさえる治療を
・中高年者に多い膝関節症
ひざの痛みの原因となる病気の中で、中高年者にもっとも多いのは、膝関節症です。 膝関節症は、いわゆる老化現象を背景にしておこる病気で、からだを動かしはじめたときや、階段を昇り降りするときなど、運動時にひざの痛みがおこります。さらに病気が進むと、歩行が困難になります。 女性患者の数が男性疾患の3~4倍といわれるように、女性に多い病気です。 運動時にひざの痛みがおこる病気には、ほかに閉塞性動脈硬化症や膝関節遊離体などがありますが、痛みの性質が異なります。
・痛みの性質を、問診でみきわめる
診断では、検査や臨床所見はもちろんですが、問診がとてもたいせつです。 ひざの痛みを診断するときは、突然おこったか、数時間のうちに激しくなったか、安静時の痛みか、運動時の痛みか、荷重時の痛みか、特定の姿勢でおこる痛みか、夜間におこる痛みかというように、痛みのおこりかたや性質をしっかり把握することをこころがけて、問診を行います。 そのうえで、X線検査・関節液の所見・MRI検査などを総合し、診断を確定します。
・筋肉を強化しながら、保存的治療を行う
ひざの痛みの治療は、薬で止めるよりも、むしろひざの運動にかかわっている筋肉を強化して、痛みの原因となっている病気を進行させない「保存的治療」に重点をおいて行います。 ひざの働きを支える筋肉の中でもっとも重要なのは、大腿四頭筋です。ひざの下に枕などを入れて押す運動を毎日つづけ、大腿四頭筋を強化すると、ひざにたまった水が減るなどの効果があります。そのうえで抗炎症鎮痛薬を服用すると、痛みを止める効果が高くなります。 しかし、病気が進んで、ひざの変形がひどくなったり、ひざの痛みが慢性化してたえられないほど強くなった場合には、やはり手術のような外科的な治療が必要になってきます。