精神障害(経行情志異常)
生理がくるたびに精神異常や不安感を持つけれども、生理が終わると普通に戻る病気を「経行情志異常」「周期性情志異常」「周期性精神病」と呼びます。気血両虚型と肝気鬱結型と胆火上乱が病因病機として考えられます。
気血両虚型
何らかの原因で脾を傷つけ気血の産生がうまくいかないために、心神が栄養されないので心神が不安定となり、生理時に心神への栄養が極端に減少すると経行情志異常となります。全身症状としては、顔色が悪い、不眠、健忘、動悸、倦怠感があってボソボソとした力のないしゃべり方をする傾向があります。生理が始まると、公開して悩み理由もなく悲しんだりします。生理時の出血量が少ない、または生理期間が短いなどの症状も併発し、生理血の色は、淡紅です。
治則:養心安神
方剤:甘麦大棗湯と帰脾湯の併用
肝気鬱結
怒りやすい性格やストレスなどがあったりすると、肝気が鬱滞して化火しやすくなります。生理直前は、肝気が旺盛となりますから、肝鬱が肝気によって化火されその火が心神を乱すために情緒が不安定となり、落ち着かなくなったり、いらいらしたり、ひどくなると発狂するようになります。全身症状としては、胸郷が張って苦しくなり食欲がなくなったり、いらいらしたり、頭痛がおきたり、口が苦くなったりします。生理が始まると肝気が落ち着くので正常な状態になっていきます。肝鬱化火によって血熱妄行となりますので、生理量が多かったりや生理が早く来たりします。生理血は紅となります。
治則:清肝解欝・鎮驚安神
方剤:加味逍遥散
:竜胆瀉肝湯(陰部瘙痒・小便黄赤の時)
胆火上乱
痰が多い体質であったり、肝鬱で脾を傷つけ脾の水分を運ぶ働きが悪くなりますと痰湿が生まれます。(脾虚生痰)生理開始頃には肝気が盛んになりますので、この痰湿が肝気にあおられ化火し痰火となって上昇しますとこの火が心神を乱し発病するようになります。全身症状としては、食欲がなく、胸部が悶々として苦しくなる、いてもたってもいられない、便秘傾向などがります。生理後に気火が落ち着くようになりますので症状が消えてしまいます。また、熱痰が下焦に停滞するようになりますと帯下量が多くなり黄色で粘稠となってきます。
治則:清熱滌痰・鎮心開竅
方剤:
加味温胆湯(心胸苦悶)
:
三黄瀉心湯合
二陳湯(食欲不振)
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柴胡加龍骨牡蛎湯(上腹部が苦しい・曖気など胃の食滞で生じる不眠)