吐血・鼻血(経行吐衄ケイコウトシ゛ク)
生理期やその前後に吐血・鼻血や眼・耳の出血を繰り返す状況を経行吐衄(ケイコウトシ゛ク)・倒経・逆経・代償生理と呼びます。一般的には、
鼻血の頻度が高いようです。鼻血のことを中医では衄血(シ゛クケツ)といいます。病因病機としては、気逆上行によるおこる血熱で、辛い食べ物に注意する必要があります。多くは生理不順がみられます。弁証としましては、経行吐衄の弁証は、「肝経欝火」「胃熱熾盛」「腎陰虚」となります。
肝経欝火
抑鬱とした性格であったり、激しい怒りで肝を傷つけると肝鬱化火しやすいので肝気旺盛となり生理開始時期に肝気が化火し、その火が上逆するために、吐血・鼻血の症状が出ます。火が盛んであるために出血の色は、紅で多量になります。全身症状としては、いらいらして怒りやすく、口が苦くなり、喉が乾きます。両脇が脹痛し、尿が濃くなり便秘傾向になります。また、肝火が上亢しますのでふらつきや耳鳴りの症状が出やすくなります。
治則:疏肝清熱・引血下行
方剤:
竜胆潟肝湯
胃熱熾盛
しつこくて辛い食事を好んで食べていると胃熱が発生し血熱内盛するようになります。肝気旺盛となり生理開始時期に肝気が化火し、その火が上逆するために、吐血・鼻血の症状が出ます。全身症状としては、口と喉が乾燥し水分を欲しがるようになります。生理開始期や生理時に多量の吐血・鼻血の症状が出ます。また、月経先期や月経過多を誘発するようになります。
治則:清胃清熱
方剤:
三黄瀉心湯
腎陰虚
陰虚体質であると生理開始頃の陰血不足による肝気旺盛のために化火します。この虚火が上逆し肺に影響を与え吐血となります。しかし、生理が始まると肝気が徐々に静まっていくので生理が終わる頃には症状が消失します。全身症状としては、ふらつきや耳鳴り、手や足の裏の火照り、痰は少なく喉が乾き乾いた咳が出るなどの症状があります。
治則:滋腎潤肺・引血下行
方剤:
麦味地黄丸