【効能】 |
補血潤燥・止痒 |
【適応症】 |
血虚生風の代表処方です。皮膚がかさかさしてつやがない・粃糠様の落屑・小さな皸裂・遊走性のかゆみ・かきむしって少量の出血や血痂がみられる・発赤や滲出物はみられないなどの症候で、舌質は暗紅・舌苔は少・脈は細。 |
【類方比較】 |
温清飲:皮膚の乾燥傾向などは当帰飲子:と似ているが、患部はときとしてわずかながら滲出液があり、掻痒感が強く、発赤、熱感を伴う場合に用います。(血熱血燥)
十味敗毒湯:患部は散発性あるいはびまん性の発疹で覆われ、掻痒感が強く、発赤を伴います。
消風散:患部が湿潤し、掻痒感が顕著で、結痂、苔癬化があり、口渇を伴う場合に用います。(風湿熱の皮膚疾患)
八味地l黄丸:老人性皮膚掻痒症などで、皮膚病変の症状は似ているが、腹部および下肢の脱力感、冷え、しびれなどがあり、夜間尿の増加がある場合に用います。(腎虚の証) |
【解説】 |
地黄・当帰・芍薬・何首烏は、全身、皮膚を栄養、滋潤し皮脂の分泌を高め、萎縮、乾燥を改善し(補血)
当帰・川芎は、血管拡張作用があります。防風・荊芥は、表在血管を拡張し、又、何首烏・蒺藜子のステロイド様作用により痒みをを止める。黄耆は、皮膚の機能を高める。 |
【治療の現場から】 |
★老人性皮膚掻痒症の場合は、八味地黄丸を合方します
★小児の皮膚掻痒症の場合は、補中益気湯を合方します
★皮膚の枯燥が強いときは、四物湯を合方します
★炎症(かいたあと赤くはれる)のある時は、温清飲を合方します。 |
【使用上の注意】 |
炎症・浮腫の介在するものには適しません。 |
【臨床応用】 |
老人性皮膚掻痒症・粃糠疹などで、血虚生風を呈するもの。炎症・浮腫の介在するものには適しません |