ウロキナーゼ
ウロキナーゼ
血栓溶解薬
1)ウロキナーゼ
ウロキナーゼは日本でかつてよく用いられた第一世代の血栓溶解薬である。プラスミノーゲンをプラスミンに変換し、フィブリンを溶解する作用がある。少量の投与では血中のα2ープラスミンインヒビターにより不活化されて失活し、大量ではフィブリノゲンを分解し、出血性の合併症を招きやすいという欠点がある。現在保険では6万単位の投与が認められてはいるが、効果を期待することはできない。但し、24万単位の局所的投与での有効例は多い。
血栓溶解療法
理論的には血管を閉塞した血栓を溶かし、再開通できれば、脳梗塞に到らずに正常に戻すことができる。脳梗塞をなおすと言う意味では最も期待される治療である。しかし、血栓を溶解し、再開通させても、経過時間が長いと臨床的改善は難しく、逆に脳に出血性病変を招く危険が高まる。1960ー70年代にはウロキナーゼ、ストレプトキナーゼといった第一世代の血栓溶解薬が試されたが、出血の合併症の多さから、欧米ではむしろ禁忌とされた。1980年代には問題となる血栓への親和性の高い組織プラスミノゲンアクチベーターが急性心筋梗塞の治療に成功をおさめ、脳血管障害への検討が始まった。多数例からの検討により、現在はできるだけ発症直後に行うことが望ましく、発症3時間以内が適応とされている。現実には発症3時間以内に来院し、診断がつく例はそれほど多くはなく、脳梗塞の治療への社会的認識の普及も重要な課題である。