風邪を引いた時、「頭が痛い」・「熱が出る」・「寒気がする」などの症状が出る場合と「高熱が出る」「熱感がある」・「のどが腫れて痛い」などの症状が出る場合があります。西洋医学ではあまり重要視されませんが、風邪のときに見られる「寒熱」の症状は、痛気の診断と漢方薬の選定に欠かせない大事な要素です。漢方の場合、風邪という病気でも、寒熱の違いによって、全く作用の異なった漢方薬が使われるからです。寒熱の診断は、熱が出ても、漢方では体温計で測った熱ではなく、患者さんの訴えを重視します。たとえば40度近い熱があっても、患者さんが悪寒を訴えている場合は、「寒性の風邪」としてとらえます。
つまり、「寒熱」は、病気の性質を示す概念で、寒性の病気か、熱性の病気かを見極め、寒・熱に偏った状態を正常に引き戻すための診断基準です。寒であれば温性の薬物を、熱であれば寒性の薬物使って治療します。
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