【効能】 |
辛温解表・清熱解毒・瀉下・利水 |
【適応症】 |
清熱瀉火・解毒を主とし瀉下・袪風、利水薬を組み合わせ、さらに補血・補気健脾の配慮をしてあります。消炎、解熱に働くとともに、利胆、利尿、発汗という解毒、排泄の経路をすべて利用しており、炎症に対する理想的な方剤になっています。さらに補気・補血薬を配合しているところから「攻撃の行きすぎを抑制する」効果もあり「発汗して表を傷らず、攻下して裏を傷らず」といわれ安全性も高いのが特徴です。また、多種の清熱薬の組み合わせ、瀉下、袪風、利水の薬物の配合から、上、中、下、体内、体表すべての炎症に適応し、その上 防風通聖散が「肥満」に用いられるのは、利尿、利胆、瀉下、発散などの効能を持つためです。
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【類方比較】 |
大柴胡湯:便秘の傾向があり、腹部は季肋下部の抵抗、圧痛(胸部苦満)が強く認められる場合に用います。(少陽陽明合病)
桃核承気湯:便秘の傾向があり、のぼせて、下腹部に抵抗、圧痛が認められる場合に用います。なお女性では月経異常や月経時の精神神経症状を訴えることが多くあります。(下焦蓄血証) |
【解説】 |
袪風の防風・荊芥・麻黄・連翹・薄荷、清熱の石膏・黄芩・山梔子、清熱瀉下の大黄・芒硝、清熱利湿の滑石、宣肺の桔梗の配合によって表裏内外の邪を除きます。
健脾の甘草・生姜と補血活血の当帰・芍薬・川芎は、袪邪による気血の消耗を防止します。
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【治療の現場から】 |
★むくみが強ければヨクイニンや五苓散などを合方します。
★痰湿を多く抱えている場合は二陳湯などを合方します。
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便秘し、腹部が膨満し力がある太鼓腹
※この目標に必ずしもこだわる必要はありません。
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【使用上の注意】 |
軟便・下痢の人は使用しない。顔色が悪く食欲不振の人は使用してはいけません。 |
【臨床応用】 |
感冒・インフルエンザ・肺炎・気管支炎・急性腎炎・急性肝炎・胆のう炎・腎盂炎・膀胱炎・皮膚化膿症・胃腸炎などで、表寒・裏実熱あるいは表欝を呈するもの。便秘症・クインケ浮腫・肥満・高血圧症などに試用してもかまいません。 |