|
ロや鼻など、空気が出入りする人間の気道の中には、実は細菌やウイルス、アレルギーのもととなる抗原やほこりなど、さまざまな「異物」が存在しています。咳は、気道の中に入り込んだ異物を排除しようとする防衛反応と言えます。咳をすることによって気道を閉じて、異物が体内に侵入しないようにしているのです。
とはいえ、咳が連続的に続けば体力を奪います。咳の治療には鎮咳薬を使い、咳の中枢や気管支に直接作用して咳を抑えようとします。一方、漢方では咳を直接抑えるのではなく、咳の原因になっている「冷えや熱」など体の状態を調整することによって抑えます。
咳の原因には、大きく2つあると漢方では考えています。1つは、体質的に冷え症であったり外部から冷えや寒さを受けるなど、体が冷えた状態になった時に発生します。これを漢方では「肺寒」の咳と言います。肺寒の咳は、水様性の疲や鼻水なじ分泌物が薄いというが特徴があり、冷えると症状が悪化する傾向があります。
もう1つは、もともと炎症を持ちやすい体質であったり、ウイルスや細菌などの影響を受けて肺が熱を持つ(炎症)ことによって起こる咳です。これを「肺熱」の咳と言います。
こうした症状に最もよく用いられる漢方薬が小青竜湯です。小青竜湯は花粉症など、鼻炎の治療薬として知られていますが、呼吸器系の水分代謝を整えるとともに鋲咳作用も併せ持っており、冷えが原因の咳には最適な薬です。
|