冷えと月経痛
冷たい風に当たったり、冷たいものを飲み過ぎたり食べ過ぎたりすると、からだが寒の性質に傾きます(実寒)。また、全身の原動力となる腎の熱エネルギーが不足する場合(「腎陽虚」)にもからだが寒の性質に傾きます(虚寒)。このときは脾胃の機能も失われ、湿が生まれます。寒も湿と結びつきやすいので、「寒湿」の症状が現れます。
実の寒湿による月経痛では、月経前から月経日にかけて下腹部の両側が脹って絞るように痛み、冷やすと痛みがひどくなります(実痛)。経血は暗紅色で、かたまりが混じることもあります。舌は暗紅色になり、緊張した脈をふれます。
虚の寒湿による月経痛では、月経開始後に絞るような痛みが起こります(虚痛)。さらに、顔色が悪い、舌の色が白っぽくボテッとなる、脈が弱くなる、といった症状を伴います。
実の寒湿によって起こる月経痛には「四物湯」と「呉茱萸湯」をあわせたものや「五積散」、四物湯に「五苓散」あるいは「平胃散」を合わせたものなどを使います。また、虚の寒湿によって起こる月経痛には「温経湯」や「当帰芍薬散」、「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」や四物湯に香蘇散を合わせたもの、四物湯に「真武湯」を合わせたものを使うといいでしょう。
このように、月経痛にはさまざまな原因があります。しかし、虚実挟雑の状態で起こることがほとんどなので、痛みの性質や随伴症状から原因を絞り込み、漢方薬を組み合わせて治療を行うことが大切です。