更年期に多い狭心症・心筋梗塞
狭心症・心筋梗塞は「胸陽衰弱し、濁陰が清陽を犯す」ことによって生じる場合が多いので、補気・補陽・通陽の薬物を主体にし、理気・活血・化痰の薬物で病邪を除くことを合わせて行います。
更年期の年代に、これらの疾患が多いのは、この年代になると気化(代謝)が失調し、心肺機能が衰弱して、津液の代謝が悪くなり、血行が緩慢になるので「痰濁」や「血瘀」を形成しやすくなるためです。
狭心症・心筋梗塞の病因は、心陽虚・心陰虚が根本原因で、痰濁と血が病理的産物として、本疾患を持続させます。正虚が本で、痰濁・血瘀の邪実が標です。臨床的には、正虚の場合、心陽虚が多くみられます。
狭心症・心筋梗塞における心陽虚型の症状
胸苦しい・心臓部痛・動悸・息切れ・顔色が蒼白あるいはどす黒くつやがない・寒がる・舌苔は白潤
心陽虚型の治療
一般的には、四君子湯加減を用いますが、もし、徐脈に対しては
補中益気湯加減を、四肢の冷えが強く脈が微で触れにくい時は四逆加人参湯を、同時に厚濁か膩である時は化痰の薬物を、舌に瘀斑がみられるか舌質が紫紅で潤、舌苔が少ない時は血瘀であるため活血化瘀の薬物を配合します。
腎陽を温補するには四逆湯を用います。腎陽が衰弱し全身を温煦することが出来ないと、四肢の強い冷えや寒がるといった症状が現れます。また、心陽にまで影響が及ぶと血液の運行も低下するので、脈は微になります。
四逆湯は強い回陽(温法の一つで四肢の冷え、呼吸微弱、脈が絶えそうな症候に対する治法)の方剤です。腎を温補するもう一つの方法は、柔剤による補陽法で
八味丸がこれに当たります。