民間薬健康法

奈良時代以来の食薬

中国の四川・湖北省をふるさとに持ち、2000年の昔から漢方に使われている梅は、奈良時代に日本に渡来しました。当時から食薬として珍重され、江戸時代には、現在の梅干し、梅肉エキスが作られるまでになり、今日までその薬効のすばらしさから愛用されつづけています。

疲労回復・毎日の鳶に幅広い梅干しの効用

梅は、青梅のまま生食することはまずありません。ほとんどが、梅干しのほか、梅肉エキス、梅酒などに利用されます。

すっぱいけれどアルカリ性食品

梅干しはすっぱいので、一見、酸性食品のようですが、実はアルカリ性食品(焼いたあとの灰を調べると、アルカリ性元素が残る)です。
 すっぱさのもとの有機酸 (クエン酸、ピクリン酸、カテキン酸など)は、胃や腸の中では強い酸性反応でバイ菌の発育を阻止しますが、腸から血液の中に入るまでには、アルカリ性に変わって、血液のアルカリ性を高め、循環をよくし、さまざまの病気に有効に作用します。

疲労回復に

梅の中のクエン酸は、「クレーブスサイクル」といわれる炭水化物、脂肪が、熱とエネルギーになり、最後に炭酸ガスと尿になって排出される過程で重要な役割を果たします。
 クエン酸が不足すると、血液の中に乳酸がたまって血液が酸性化し、まず疲れるという症状が出るのです。
 疲れたとき梅干しを食べるとよいのは、このクエン酸がサイクル過程をへず、すみやかに作用するため、疲労素の乳酸がたまらず、体内に残っていても、それが燃焼してエネルギー源になるからです。疲労症状のくびのこり、肩こり、腰のだるさ、食欲不振にももちろん有効。

動脈硬化⊥高血圧・腎臓病・神経痛・冷え症に

血液の酸性化が進んで乳酸が多量に蓄積されると、細胞が老化し、血管を硬化させて、動脈硬化や高血圧などの原因になります。クエン酸を含む梅干しを食べ、クレーブスサイクルをスムーズにして血液を弱アルカリ性に保てば、血管は弾力性を増して動脈硬化や高血圧に、また利尿効果があって腎臓病に、というように目に見えて病気がよくなってきます。

肝臓病に

梅の中に含まれているごく微量のピクリン酸が、肝臓の機能を高めるといわれています。肝臓の働きが活発になれば、肝臓病はもちろんよくなりますし、二日酔い、乗り物酔いもなくなります。

胃カイヨウに

胃カイヨウは、ストレス、不規則な食事などが原因で胃液や胃酸の分泌が不規則になるのがその発端です。梅の中に含有されているクエン酸などの有機酸が作用して、胃液の分泌を正しくしますから、胃カイヨウの予防、治療に有効です。

便秘に

梅の有機酸の一つのカテギン酸は、整腸作用があって、腸の蠕動運動を盛んにします。腸の運動が活発になると便秘が解消され、同時に、便秘がもとのにきび、肌荒れなともよくなります。

下痢に

梅干しや、特に梅の有効成分が濃縮された梅肉エキスは、薬理学的実験では、バイ菌に対して抗菌作用、殺菌作用があることが証明されています。
 下痢をしたとき梅肉エキスを飲むと、腸内の抗菌・殺菌作用を高め、同時にエキスに含まれているカテギン酸が腸の嬬動運動を盛んにして、腸の炎症を止め、ただれた腸壁の組織を引き締め、下痢を止める働きをしてくれます。梅干しにも、エキスよりおだやかながら、同様の効果があります。

胎児・妊婦の保健に

梅に含有されているクエン酸には、吸収されにくいカルシウムを吸収し、定着率を高める働きがあります。妊娠2〜3ヶ月ごろにすっぱいものがほしくなるのは、胎児の骨格形成に必要なカルシウムの定着率を高めようとする母体が、本能的にクエン酸を要求するからです。大いに梅干しや夏みかんなどを食べてください。
 なお、妊娠中に梅干しや梅肉エキスを常用すると、乳酸が燃えてエネルギーになるうえ、便秘も解消し、妊婦の保健、胎児の成長に、すばらしい効用を発揮します。

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