【効能】 |
疏肝解欝・健脾補血・清熱涼血 |
【適応症】 |
加味逍遙散(丹梔逍遥散)は、気血両虚の肝鬱化火の代表症で、ゆううつ感、いらいら、頭痛、のぼせ、ほてり、出血などの熱症をともない、しびれ感、皮膚につやがない、疲労感、食欲不振などを呈するものに用います。 |
【類方比較】 |
補中益気湯:体力消耗が著しく、下肢倦怠感、下痢、盗汗があり、精神不安のない場合に用います。(脾虚、中気下陥)
抑肝散加陳皮半夏:神経興奮症状が強く、臍の左側で動悸のひどい場合に用います。(気血両虚の肝陽化風)
当帰芍薬散:顔色がすぐれず、下腹部に抵抗、圧痛があるが、季肋部にはそれらがない場合に用います。
小柴胡湯:神経症状が乏しく、右季肋部の抵抗、圧痛(胸脇苦満)がある場合に用います。 |
【解説】 |
柴胡・芍薬・薄荷は、自律神経系の機能調整鎮静に働きます(疏肝解欝)。特に柴胡・芍薬の組み合わせがこの効果を強めます。ゆううつ感、いらいら、抑うつ感などの精神的ストレスが緩解されます。牡丹皮・山梔子は、鎮静、自律神経系興奮の抑制、解熱、消炎、抗菌に働き、止血作用ももちます。(清熱涼血)。いらいら、怒りっぽい、ヒステリックな反応などを緩解します。当帰・芍薬は、滋養強壮作用により、体を栄養、滋潤し内分泌機能を調整します(補血)。白朮・伏苓・甘草・生姜は、消化吸収を促進します。(健脾)。白朮・伏苓は、組織中や消化管内の水分を血中に吸収し利尿作用により排除します(利水)。当帰・芍薬・牡丹皮は、子宮筋に対し調整的に働き、他薬とともに内分泌機能や自律神経機能を調整して、月経を調整し、(調経)芍薬・甘草は、鎮痙、鎮痛に働きます。
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【治療の現場から】 |
★のぼせ、いらいら、不眠などが強いときや、炎症が強いときには、黄連解毒湯・三黄瀉心湯などを合方します。
★食欲不振、元気がない、疲れやすいなどの気虚の症候が強ければ、六君子湯などを合方します。
★下痢、浮腫が強ければ、五苓散や猪苓湯などを合方します。
★皮膚の乾燥、やせるなど血虚の症候が強ければ、四物湯を合方します |
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心窩部・季肋部に軽度の圧痛
(胸脇苦満)
性周期に連動し精神神経症状を訴える
発作性の発感・上半身の灼熱感
※この目標に必ずしもこだわる必要はありません。 |
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【臨床応用】 |
自律神経失調症・更年期症候群・神経性胃炎・胃十二指腸潰瘍・慢性胃炎・慢性肝炎・胆のう炎・肝硬変の初期・慢性乳腺炎・月経不順・月経困難症・月経前期症候群・乳腺症・過敏性結腸症・神経性下痢症・膀胱神経症・慢性膀胱炎などで、肝気欝結・気血両虚を呈するもの。これに準じるが、高血圧症・動脈硬化症・骨盤内炎症・慢性の微熱・出血などにも用い、肝欝化火で気血両虚を呈するものに適している。 |