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  耳鳴りと漢方治療

慢性的に起こる耳鳴りの症状と治療


耳は、非常に精密な感覚器です。それだけに、ちょっとした原因で耳鳴りや難聴といった症状が起こりやすいともいえます。ところが、音の聞こえるしくみはわかっていても、耳鳴りがどうして起こるのかについては、あまり解明されていません。
漢方(中医学)で考える耳鳴りのメカニズム
急性の耳鳴り
慢性の耳鳴り
耳鳴りに滋腎通耳湯
   
1 生命エネルギーのおおもとが不足すると、慢性的に耳鳴りが起こる
(腎陰虚)
  50歳前後になれば、誰でも気力や体力がおとろえます。このような老化現象は、生命エネルギーのおおもととなる腎の精が慢性的に不足して腎の働きがおとろえるために起こります。
 からだがこのような状態にあるときにかぜをひいたり、精神情緒が不安定になったり、発汗や出血あるいは下痢、過度のセックス、持続的なストレスなどによる消耗が重なると、腎はさらに傷つけられます(「腎陰虚」)。

 耳や脳に必要な滋養やうるおいが不足するために起こる耳鳴りのほかに、頭のふらつき、のぼせ、イライラ、不眠、口の乾燥、のどの痛み、ほおの紅潮、腰がだるく無力、手足の熱感、午後の発熱などが現れ、舌が紅く苔が少なく、脈は細く脈拍数が多くなるときは、腎の精や津液を補う六味丸に磁石と芍薬を加えた「左滋丸」や「左帰飲」「一陰煎」などを使います。熱性の症状が強いときは、肝と腎の精や血、津液を補って火をおさえる「知柏地黄丸」などがいいでしょう。
 脾胃の機能のおとろえ(「脾胃気虚」)が原因で、疲労倦怠感や食欲不振、手足が無力、軟便あるいは下痢、消化不良、腹が脹ったり鳴るといった症状をともなうときは、脾胃の機能を高めて精や血、津液を補い、熱をおさえる「釣藤散」を使います。
 血が不足して栄養不良(「肝血虚」)になり、顔面蒼白、目のかすみ、痩せる、どうき、睡眠障害、手足のしびれなどの症状が明らかなときは、肝の血を補い機能の亢進をおさえる「七物降下湯」が効果的です。


2 乾燥が進み、熱によって慢性の耳鳴りが起こる(肝腎陰虚)
  精が血に変化し、血が精から生まれ、精が腎に、血が肝にたくわえられるというように、腎と肝は密接な関係にあります。したがって、腎の精や津液が不足すると、肝の血や津液も不足して(「肝腎陰虚」)、耳が栄養不良の状態になるので、耳鳴りが起こります。

 これは、陰虚が一段と進行した状態で、相対的に熱がさらに強くなって乾燥度の高い「燥熱」に変わるため、頭のふらつきや脹り、めまい、視力低下、不眠、無汗、口やのどの乾燥、手足の熱感、月経異常、腰やひざのだるい痛みといった症状をともない、舌が紅く乾燥気味で、脈が無力で弦を張ったようになります。このときは、肝と腎の精と津液を補って熱を冷ます「杞菊地黄丸」などが効果的です。

 なお、肝と腎には、全身を温めて物質代謝を行う生理機能(「相火」)がありますが、肝腎陰虚が進むとこの機能が亢進し、病因物質である火邪に変化して経脈をふさぐため(「相火妄動」)、急性の激しい耳鳴りが起こることがあります。現れるのは火(実)の症状ですが、原因は肝と腎の血と津液の不足(虚)にあるので(本虚標実)、肝と腎の血と津液を補って熱をおさえる「杞菊地黄丸」と「加味逍遥散」を加えたものなどを使います。


3 耳鳴りが、冷えをともなうケースもある(腎陽虚)
  腎の精の不足が進んで、生命活動の原動力である腎の機能が損なわれるようになると(「腎陽虚」)、耳や脳に必要な熱量が不足するので、冷えをともなう耳鳴りが起こることがあります。
 顔面蒼白、元気がない、冷え、腰や下肢がだるく無力、頻尿、排尿困難、むくみ、軟便あるいは泥状便といった症状をともない、舌がむくんだようになって白い苔がつくほか、脈が無力になるときは、腎の機能を高める「八味地黄丸」、冷えの症状が強いときは、腎の機能を高める力がより強い「鹿茸大補湯」が効果的です。

4 消化吸収機能のおとろえが耳鳴りの原因になる(脾胃気虚)
  食生活の不摂生やストレス、慢性病による衰弱、過労、虚弱体質などの原因で脾胃の消化吸収力が低下すると、全身の活動に必要な栄養素を十分につくって送り出す力が不足します(「脾胃気虚」)。そのため、耳や脳が栄養不良の状態になって耳鳴りが起こります。

 疲労倦怠感や食欲不振、手足が無力、軟便あるいは下痢、消化不良、腹が脹ったり鳴る、といった症状をともない、舌が淡い色になって薄い苔がつき、軟らかく弱い無力な脈をふれます。この場合は、脾胃の機能を高める「補中益気湯」や「六君子湯」、冷えの症状をともなうときは、温める力も強い「人参湯」を使うといいでしょう。

5 機能の低下と、滋養の不足が耳鳴りを引き起こす(気血両虚)
  気と血は、ともに脾胃でつくられ、いつもペアで活動しています。したがって、脾胃の機能が低下して気が不足すると、血も不足すると、血も不足するようになります(「気血両虚」)。耳や脳に必要な熱や滋養が不足するため、耳鳴りが起こるほか、疲労、倦怠無力、息切れ、頭のふらつき、目のかすみ、どうき、睡眠障害、顔面蒼白、手足のしびれ、爪につやがない、経血量減少といった症状をともない、舌が淡い色になって肥大せず、脈が細く無力になります。
 このような場合は「人参養栄湯」や「十全大補湯」「加味帰脾湯」「四物湯」などで気や血を補います。

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