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元気がなく、気や血が不足し
ときにおこりやすいニキビ
気と血は、いつも一緒に全身を巡っています。そのため、一方に問題がおこると、必ず相手に影響を与えます。
出血や過労、重い病気、必要以上に生まれた熱による消耗などが原因になって、陰血が不足すると、陽である気が相対的に余ってしまいます。やがて気は熱に変わり、上昇して肝にこもるため(「血虚浮熱」)ニキビができるようになります。
反村に、食生活の不摂生や過労などが原因で、気が不足すると、全身に張りめぐらされた通り道である「三焦」に気が滞ります。滞った気はやがて熱に変わり、肺の働きを妨げるので (「気虚発熱」)、ニキビがあらわれるようになります。
このような「気血両虚」 によっておこるニキビは、皮膚の色ににた淡い褐色になります。数はあまり多くありませんが、治りにくい傾向があります。
化膿することは少なく、つぶすと白い脂肪が出て、痛みや熱感はあまりありません。 また、元気がない・疲れやすい・顔につやがない・食欲不振などの症状をともないます。
血の不足が原因でできるニキビは、血を重点に気血を補う「人参養栄湯」や「加味帰脾湯」などで治療を行います。赤く化膿するなど熱の症状が強いときは、血の熱を冷ます力の強い「温清飲」を使用します。
これに村して、気の不足が原因になっている場合は、気を補って三焦を通じさせる「補中益気湯」がいいでしょう。
消化吸収力がおとろえ
栄養不足になってできるニキビ
食生活の不摂生・虚弱体質・過労・慢性病などが原因になると、脾の働きがおとろえて、消化した栄養を吸収して全身に送る力が低下します。そのため、内臓の活動に必要な気・血・「津液」を十分につくることができなくなります。
その結果、肝の血が不足するため、相村的に気が余った状態となり、全身の正常な働きを調節できなくなります。
余った気はやがて熱に変わり、脾が十分に栄養を吸収できなくなるために、有害な水分である湿が生まれます。熱は湿とともに上昇し、肺にたまって気を滞らせるので、淡い赤褐色のニキビがあらわれるようになります。
また、栄養やうるおいが不足するので、顔色が悪い・肌につやがないなどの症状があるほか、体内にたまった湿によってからだの下のほうが冷えるため、月経不順・月経痛・腹痛・下痢・むくみなどの症状もあらわれ、舌がはれぼったくなって白い苔がつき、脈が「細」になります。
このような「肝脾不和」によるニキビの治療は、血を補って肝の働きを回復し、脾の働きをととのえて有害な水分を除く「当帰芍薬散」を用いて治療します。
からだが冷えて生まれた有害な水分が
熱を押しあげてできるニキビ
もともと脾胃が弱かったり、生ものや冷たいもののとりすぎで脾胃の働きが衰えると、有害な水分が生まれます。そのため気や血の流れが妨げられ、皮膚に十分な気がめぐらなくなるので、風邪が侵入しやすくなります。
侵入した風邪は、気血の通り道である 「経絡」を通って内臓に向かう間に、熱に変わります。そして、有害な水分によって正常にはたらくことができなくなった気といっしょに、肺の働きを妨げるようになります。
こうしておこる 「内傷寒湿・外感風寒」 のニキビは、淡い褐色あるいは皮膚の色をしており、小さくて、数は少ないのが特徴です。
また、体内の冷えがひどくなると、有害な水分が熱を押しあげるため、のぼせ・ほてり・イライラといった上半身の熱症状と、月経不順など下半身の冷えの症状が同時にあらわれ、舌が淡い色あるいは青白いような色になって白くべっとりした苔がつき、脈が「沈遅」で「有力」 になります。
治療は、からだの表面と内側を同時に温めて、気・血・津液の流れを回復する「五積散」で治療を行います。
からだが冷えているのに、熱の症状を
ともなってあらわれるニキビ
もともと脾胃が弱かったり、飲食の不摂生によって脾胃の働きが衰えると、有害な水分が生まれます。
有害な水分が集まると、やがて 「水飲」となり、体のあちこちに溜まるようになります。
このとき邪が侵入すると水飲がからだの働きを妨げるので、喘息・アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎・むくみなど、さまざまな症状をひきおこします。
脾胃の衰えが進んで、体内の水飲が盛んになると、「陽気」を押し上げようとします。そのため陽気は浮き上がり、肺の働きを乱すため、ニキビがあらわれます。
また、のぼせ・両頬の紅潮・立ちくらみ・手足が温まらない・動悸・舌がしっとりぬれて腫れぼったく軟らかく、淡い色になって、白い苔がつく・脈が細でやや弦あるいは「浮大」で無力などの症状をともないます。
このような「陰盛格陽」 によるニキビには、下半身を温めて水飲を除く「苓姜朮甘湯」と、からだの中央部の陽気を補う「苓桂朮甘湯」を合わせて使い、陽気を脾胃にもどすことによって、治療します。
また、腎の陽気がおとろえたために生まれた水飲がさかんとなり、「水飲」 に押しあげられて浮きあがった陽気が肺の働きを乱すためにできる 「戴陽」 のニキビは、「八味地黄丸」 や「真武揚」などで腎の陽気をひきもどし、治療します。
皮膚にうるおいがなく、乾燥したニキビ
辛いものを偏食したり、高熱がつづいたあとなどは、からだの水分が消耗されて不足します。そのため、血のめぐりが悪くなり、からだが乾燥して、皮膚の乾燥・くちびるや手の指がかさかさになる・口内炎・口角炎・食欲不振・のどは渇くがあまり水分をとらない・大便の乾燥などの症状があらわれます。
このような 「脾陰虚」や「胃陰虚」から「血燥」の状態になると、赤く乾燥したニキビがあらわれ、白い粉(白屑)が浮きあがります。
治療は、脾胃の働きを高めて津液を補う「参苓白朮散」を用います。
なお、高熱がつづいたあと胃と肺の潤いが不足した場合にも、同じようなニキビがあらわれ、のどが渇いて冷たいものがほしくなるが、少ししか飲めない・口臭・食べてもすぐにおなかがすく・胸やけ・ゲップ・痰がなく咳こむ・舌が乾燥して紅くなり苔が少ない・脈が細で脈拍が多いなどの症状をともなうときは、胃と肺をうるおす「麦門冬湯」を使用します。
津液や血が不足しておこる
思春期に多いニキビ
思春期は、一生の中で気や血がもっとも充実している時期です。しかし、恋の悩みや、節度のない性生活などがつづくと、腎や肝の津液や血が不足し、相村的に余った陽気が熱となって、肺の働きを乱すため、ニキビがおこります。
このような「陰虚陽亢」タイプのニキビは、色が暗い紅で、頬や額にたくさんできます。
また、めまい・頭痛・イライラ・手のひらや足の裏あるいは胸の中に熱感がある・舌が紅い・脈が細で脈拍が多いといった、腎や肝の津液や血などの不足による症状をともなうほか、ひどい場合には、寝汗・脇の痛みとともに、頭の熱症状と足の冷えが同時にあらわれることもあります。
治療は、腎や肝の津液や血を補い、熱を除く「六味地黄丸」、熱の症状が強い時は「知柏地黄丸」、目のかすみ・視力低下など、肝の衰えによる症状がある時は「杞菊地黄丸」で治療を行います。
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