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補益とは、虚証を改善するときの治療法です。
虚証とは、人体の要素である咽嗌(血・津液・精)と陽気(気)の不足を言います。虚証には、咽嗌の不足である血虚・陰虚と陽気の不足である気虚・陽虚の4つの病態に区別されます。
補益剤(補剤)には、病態の違いにより、「補気剤」「補血剤」「補陽剤」「補陰剤」に分類されます。
補気:各系統器官の生理的な機能が不十分であるものを補う治療法です。
補血:血液による滋潤・栄養作用の低下を補う治療法です。
補陽:陽気不足ににより、「温煦作用」の低下による寒証を補う治療法
陰虚:血虚の程度が進み、津液不足が顕著になったものを補う治療法
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1 |
補気 |
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(1)代表薬物
薬物 |
基原 |
気味・薬性 |
薬能 |
人参 |
オタネニンジンの根 |
辛・微苦 |
微温 |
補気固脱・補脾気
益肺気・生津止渇
安心益智 |
黄耆 |
キバナオウギの根 |
甘 |
温 |
補気昇陽・補気摂 |
甘草 |
カンゾウの根 |
甘 |
平 |
補中益気・清熱解毒
潤肺・袪痰止咳 |
白朮 |
オオバナオケラの根茎 |
甘・苦 |
温 |
健脾益気・燥湿利水
固表止汗・安胎 |
代表処方
六君子湯・補中益気湯
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2 |
補血 |
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(2)代表薬物
薬物 |
基原 |
気味・薬性 |
薬能 |
当帰 |
トウキの根 |
甘・微苦 |
微温 |
補血調経・活血行気
止痛、潤腸通便 |
阿膠 |
ロバのにかわの塊 |
甘 |
平 |
補血・滋陰・止血・
清肺潤燥 |
芍薬 |
シャクヤクの根 |
苦・酸 |
微寒 |
補血斂陰・柔肝止痛
平肝斂陰・祛瘀止痛 |
熟地黄 |
アカヤジオウの根 |
甘・微苦 |
微寒 |
補血調経・滋腎益精 |
代表処方
四物湯・当帰飲子
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3 |
補陽 |
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(3)代表薬物
薬物 |
基原 |
気味・薬性 |
薬能 |
鹿茸 |
マンシュウジカの幼角 |
甘・鹹 |
温 |
補腎陽・強筋骨
益精血 |
肉蓯蓉 |
ホンオニクの肉質茎 |
甘・鹹 |
温 |
益精血・補腎陽
潤腸通便 |
淫羊藿 |
ホザキノイカリソウの全草 |
辛・甘 |
温 |
補腎壮陽・袪風湿
強筋骨 |
附子 |
トリカブトの塊根 |
大辛 |
大熱 |
回陽救逆、温脾腎
散寒止痛 |
桂枝 |
桂の根 |
辛・甘 |
温 |
発汗解肌・温通経脈
通陽化気・平衡降逆 |
代表処方
八味地黄丸・牛車腎気丸・鹿茸大補湯
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4 |
補陰 |
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(4)代表薬物
薬物 |
基原 |
気味・薬性 |
薬能 |
地黄 |
アカシヤジオウの根 |
甘 |
微温 |
清熱涼血・生津 |
麦門冬 |
ジャノヒゲの根 |
甘・微苦 |
微寒 |
清熱潤肺・止咳・
養胃生津・清心除煩
潤腸通便 |
石斛 |
コウキセッコクの根 |
甘 |
微寒 |
養胃生津・清熱滋陰
滋腎陰 |
胡麻 |
ゴマの種子 |
甘 |
平 |
滋養肝腎・補益精血
潤燥滑 |
代表処方
六味地黄丸・麦門冬湯 |
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