月経前症候群(PMS)とサプリメント
月経前症候群(PMS)とサプリメント
月経前に「顔がむくむ」「にきびが悪化する」「体重が増える」「イライラする」「気分が沈む」といった症状を訴える女性をよく見かけます。
このように、排卵から月経開始までの時期に現れる身体的・精神的症状をPremenstrualSynd「Ome、略してPMS(月経前症候群)といいます。PMSという言葉は一般にあまり知られていないため、独りで悩んでいる方も少なくはありません。
普段明るい女性やおとなしい女性が、ある日突然陰鬱で粗暴になり、上司や夫、恋人から「情緒不安定」「気まぐれな性格」などと片付けてしまわれがちなのは、とても残念なことです。
月経前症候群(PMS)の現れる時期と原因
PMSの発症時期は、月経周期が安定してくる成熟期、妊娠経験後、ピル使用後、子宮切開手術後など、女性ホルモンの分泌量の変化が引き金になるようです。
女性ホルモンのうち、卵子を育て子宮の内膜を増殖させる働きをするのが、卵胞ホルモン「エストロゲン」です。体全体にも作用し、コレステロールを抑え、肌の新陳代謝を促します。
排卵後、残った卵胞は黄体と呼ばれる組織に変化し、黄体ホルモン「プロゲステロン」を分泌します。黄体ホルモンは、子宮内膜を受精卵が着床しやすい状態に保ち、体の水分を保持し、体温を上昇させ、食欲を増進させる働きがあります。また、皮脂腺を刺激するため、皮脂の分泌が盛んになり、にきびや肌荒れが悪化することもあります。
PMSの症状は、排卵期から月経が始まる数日前にかけて現れますが、この時期にプロゲステロンの分泌が活発になるからです。、水分の貯留する場所によって症状も異なり、広範囲に貯留すると体重が増加し、「体がだるい」「指輪がきつい」「腹部膨張感がある」といった症状が生じます。内耳に貯留するとめまいを生じ、眼球だと目に激痛が生じます。頭蓋骨の隙間にたまると頭痛、乳房の場合は乳房の張りや痛みが生じます。また、椎間円板の場合は背中や腰が痛み、筋肉や関節だと筋肉痛や関節痛を引きおこします。
月経前症候群(PMS)と過食
PMSの女性が月経前に過食になるのは、血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)の低下と関係があります。人間の脳は、ブドウ糖のみをエネルギー源としているので、ダイエットなどで血糖が少なくなると、脳の働きを維持するために血糖値を上げるように働きます。人間の血糖値は、自動調節機構によって最適の範囲内に維持されており、食後に血糖値が高くなると上限の調節機構が作動してインスリンを増やし、血糖値を下げます。
低くなると、下限の調節機構が作動してグルカゴンを分泌し、体の細胞に貯えられている糖を血液中に放出するか、脳が「おなかがすいた、何か食べなさい!」と命令するのです。
PMSでない女性は、たいてい血糖値が90mg/d以こなるとおなかがすいて食事をしたり、おやつを食べたりします。しかし、PMSの女性は、排卵後に自動調節機構の下限が上がるため、血糖値が100mg/d以こなると、おなかがすいてしまいます。その結果、PMSでない女性は、血糖値が90mg/dほで下がるのに6時間かかるのに、PMSの女性は3〜4時間で100mg/dlまで下がり、3〜4時間おきに空腹を感じることになります。
こんな時はケーキやお饅頭を食べず、少し大きめな甘い飴玉をゆっくり味わいながら血糖値を上げると、うまく過ごせます。
380キロカロリーのケーキに対し38キロカロリーの飴玉なら力ロリーは10分の1です。これを知らないと空腹に耐えられなくなり、太ってしまうのです。
月経前症候群(PMS)と突然のいらだち・抑鬱感
PMS特有のいらだちや八つ当たりの原因の一つに「血糖値の低下」があげられます。
血糖値が低下すると血糖濃度を一定に保つため、グルカゴンだけではなくアドレナリンという物質が分泌されます。アドレナリンは、脅威や危険に直面した時に分泌される「攻撃性ホルモン」でもあります。突然のいらだちは、長時間炭水化物を含む食事をとらなかった後におこりやすくなります。
PMSの方で、気分が落ち込み、孤独感や絶望感に悩む人がよく見られます。
それらの原因の1つは、脳内神経伝達物質セロトニンの分泌低下です。女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの分泌が低下する黄体期後期には、セロトニンの分泌も低下することが知られています。そうした抑鬱感を改善するサプリメントが、セロトニンの取り込みや分泌低下を抑えてくれるセントジョーンズワートです。また、セロトニンの材料であるアミノ酸「トリプトファン」を加えることも有効です。
不安や鬱状態で食欲不振に陥りがちな鬱病と異なり、PMSの場合は食欲が増進する方が多いからです。憂鬱なPMSを飴玉療法とセントジョーンズワートで乗り切りましょう。PMSと似た抑鬱感が現れるものに、産後半年以内に精神的症状が生じる産後抑鬱症や、閉経前に身体的・精神的症状のみられる更年期鬱症があります。
月経前症候群(PMS)とストレス
ストレスによって月経周期に乱れが生じることは珍しいことではありませんが、それとPMSとは直接の因果関係はないようです。しかし、PMSが発症すると、食欲をがまんできなくなるうえ、ストレスも加わるのですから、ますます過食状態に傾くことはおわかりいただけるはずです。
最近、強いストレスを受けた時期に、PMSの症状が悪化して食欲が止まらなくなったといって相談にみえる方が後を絶ちません。ストレスの蓄積は、脳内神経伝達物質のセロトニンやヒスタミンの分泌を低下させるといわれています。セロトニンの分泌が低下する黄体期後期に、ストレスがセロトニンとヒスタミンの欠乏に拍車をかけ、精神的症状を悪化させ、過食に走らせることもあります。
肥満指導に対しても否定的で、この時期を上手に乗り切ることができないため、それ自体がストレスとなり、さらに症状と過食を悪化させるようです。ストレスによってPMSが悪化したという方には、ストレスに対するサプリメントのバレリアン、ヒスタミンの前駆アミノ酸ヒスチジンの摂取をお勧めします。
PMSは定期的な月経のある女性にのみ出現しますが、これをプラスに考えると、女性の生殖機能が正常に働いている証拠でもあります。PMSに悩むあなたを理解してくれる人は周囲に少ないかもしれませんが、これまでの説明を理解して症状に合わせたサプリメントで改善すれば、うまく乗り越えられるはずです。PMSのファーストチョイスサプリメントは、大豆イソフラボン、またはチェストツリーです。
月経前症候群(PMS)の主なサプリメント
●チェストツリー | ●イソフラボン |
●ブラックコホシュ | ●ビタミンB6 |
●ローヤルゼリー | ●セントジョーンズワート |