検査数値をどう見るか・・・HBs抗原は?

HBs抗原   B型肝炎の感染をチェック
基準値  陰性(−)
この検査で何がわかるか?
 B型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを調べる検査です。B型肝炎ウイルスが肝臓内で増殖すると、HBs抗原を大量につくります。このHBs抗原の存在を調べることで、間接的にB型肝炎ウイルスの存在を知ることができます。
 B型肝炎ウイルスに感染しても肝炎になるとは限りませんが、血清中にウイルスが含まれているので、ほかの人に感染させない配慮が必要になります。
異常値が出たときに疑われるおもな病気や状態
・急性肝炎
・慢性肝炎
・肝硬変
・肝臓がん

ワンポイントアドバイス

 ウイルスによって引き起こされる肝炎としては、ほかにA型肝炎、C型肝炎などがあります。これらも検査によって感染の有無を調べられます。肝炎の80%はウイルスによるものであり、その半数以上はB型、C型肝炎ウイルスによるものです。
"キャリア "とは何か?
 肝炎ウイルスは、それ自体が肝臓をおかすわけではありません。ウイルスをもっていてもなんら異常が起こることなく、健康でいられる人がいます。こういう人たちをキャリア(ウイルス持続保有者)と呼びます。その数は、現在日本中で200万〜300万人ともいわれています。しかし、肝臓は回復力の強い臓器ですから、一部が障害されていても症状が出ないことが多く、キャリアのうち約90%は知らないうちにウイルスを退治してしまいます。
残り10%の人が発病し慢性肝炎になりますが、ほとんどは完治し、慢性肝炎から肝硬変症、肝臓がんへと進行するケースは、キャリア全体の1〜2%とされています。
 ですから、HBs抗原が陽性と判定されても特別な治療を受ける必要はありませんが、定期的(3〜6か月ごと)に検診を受ける必要があります。そして何よりも他人へ感染させないように気をつけることです。B型肝炎ウイルスは、血液や精液、唾液、尿、便、汗、鼻汁などに含まれているので、これらが他人につかないように注意しましょう。もっとも、血液や精液に比べると、唾液や汗などに含まれるウイルスの濃度はきわめて低いので、日常的な接触で感染することはありません。キャリアの人も周囲の人も、神経質になる必要はまったくないのです。

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